年上だろうと、働かない部下に遠慮はいらない

上田:そうです。もうすぐ再雇用の年齢だということのようですが、こうはっきり言えばいいのです。「あなたがこの先、再雇用されることには反対はしませんが、このままだと、あなたが再雇用されても、私の課で課長補佐という職で働いてもらうことは拒否しますよ」と。
大竹:もう、はっきりと言いなさいということですね。
上田:そうです。あなたはリーダーなんだから。
大竹:支店長からも、それぐらい期待されているということですよね。
上田:昨年、「ワンチーム」で日本中を沸かせたラグビーだってそうでしょう。ワンチームになれない人、チームリーダーの言うことを聞かない人はチームから外されますよ。それはスポーツの世界でも仕事の世界でも一緒です。そう思って、あなたはもっと正直に、ストレートに、課長としての権限をはっきりと示す必要があります。なあなあで対応するのではなくてね。
遠慮はいりません。
大竹:問題の課長補佐の年齢は、再雇用目前ということですので50歳代後半なのでしょう。相談者は中途入社ですから、この会社で働いている期間も課長補佐の方が長い可能性がありますね。だから、いろいろ遠慮しているのだと思います。
上田:そうだね。どの会社でもいるんですよ。仕事をしない人に限って、できない理由を挙げさせたらすごいという人がね。僕が社長をしていた頃にもいましたよ。経営戦略会議などで、「何で今月はこうなんだ?」と聞くと、ああだこうだとできない理由を挙げるんです。
「先月、君にやり方をこう変えろと言ったよね。ちゃんと変えたのか」なんて聞くと、「いや、変えようとしたのですが、これがこうで、あれがこうで、できません」と、できない理由をもっともらしく、とにかく列挙するんです。
それでこう言ったんですよ。「君に限らずきょう出席の諸君、うちの会社は文化を変えなきゃいけない。できない理由を会議で延々と発表することはやめよう。なぜできなかったのか、という結果の報告は必要だけど、それをどうやったらできるようになるかを議論しよう。できない理由を言う前に、どうやったらできるか。これを会議で話そう」とね。
だから、あなたも彼女に言ってあげてください。「私は、できない理由を延々と聞くことはしません。どうやったらできるか言ってください」とね。あなたには、これをしっかりやってほしい。
大竹:モチベーションをどう高めるか、ということに悩む前に、まずやるべきことをやらせる。
上田:そうです。最低限やるべきことは、あなたの立場上、しっかり、そう言うべきです。モチベーションをどう高めるかは、最低限やるべきことをやらせられるようになってから考えればいいんです。
大竹:急に厳しくなったら、「あの人、人が変わったね」などと部下から言われるかもしれません。
上田:それでいいんですよ。あなたがいい意味で変わらないと、課はまとまりません。言うことを聞かない1人の部下に遠慮したために、チーム全体の意欲が下がってしまったら、それこそ本末転倒ですよ。
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2/22ウェビナー開催、ウクライナ侵攻から1年、日本経済「窮乏化」を阻止せよ

2022年2月24日――。ロシアがウクライナに侵攻したこの日、私たちは「歴史の歯車」が逆回転する光景を目にしました。それから約1年、国際政治と世界経済の秩序が音を立てて崩壊しつつあります。 日経ビジネスLIVEは2月22日(水)19時から、「ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済『窮乏化』を阻止せよ」と題してウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは、みずほ証券エクイティ調査部の小林俊介チーフエコノミストです。世界秩序の転換が日本経済、そして企業経営にどんな影響を及ぼすのか。経済分析のプロが展望を語ります。視聴者の皆様からの質問もお受けし、議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■開催日:2023年2月22日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済「窮乏化」を阻止せよ
■講師:小林俊介氏(みずほ証券エクイティ調査部チーフエコノミスト)
■モデレーター:森 永輔(日経ビジネスシニアエディター)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
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