上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、宴会のスピーチの途中で「やめろ!」と大声で言われてショックを受けた男性から。「こんな行動は理解できない」とあぜんとする男性に対し、上田さんは「話が長すぎたのでは」と諭し、上田流スピーチの極意を伝授します。

悩み:先日、アパートのオーナー会でスピーチをしたのですが、話の途中で「やめろ!」と言われ、とてもショックを受けました。親睦を深める会で、このような行動をする人を理解できません。どう対処したらよいでしょうか。

 私はアパートを経営しておりまして、アパートの経営者の集まりであるオーナー会という組織に参加しています。当地区には100人のオーナーがおりまして、そのうち70人がオーナー会に参加して、オーナー相互の親睦を図っています。毎年、新年会、オーナー会総会、オーナー親睦の日帰り旅行などを行っています。

 なお、オーナー会は年会費を集めて運営しています。私は十数年前に会員になり、それ以来、イベントには毎回参加しております。5年前からはオーナー会の役員となり、会計を担当したり、3年前からは副会長をしたりしております。

 今年の1月に新年会があり、私は副会長として宴会の乾杯の音頭や締めのあいさつなどの役目を果たしていました。副会長という立場上、新年会を盛り上げようと、宴会の途中でいろいろな話題でスピーチしたところ、5分ぐらいたったころにオーナーの1人が、「スピーチをやめろ! 聞きたくない」と大声で叫んだのです。

 私はびっくりして、スピーチを中止しました。そして即座に締めのあいさつをして、オーナー会を終了したのです。何が気にくわなかったのか、何で急にスピーチをやめろと言ったのか、真意は分かりません。全く大人げない行動に遭い、ショックであぜんとしました。

 世の中にはいろいろな人がいることは分かりますが、オーナー会は、同じアパート会社のアパートを建てた人の集まりであり、同じ穴のむじなの集まりであり、全くあかの他人の集まりではないし、親睦を図る会でもあるのに、どうして そんな嫌がらせみたいな行動をするのか、理解できません。

 こんな非常識な行動を、私はどうしても許せないのですが、こんな場合どう対処したらよいものでしょうか。教えていただければ大変ありがたく思います。よろしくお願い申し上げます。

(75歳、男性、無職)

上田準二:スピーチを気持ちよくしていたら、突然、「やめろ!」と大声で言われてショックを受けたということだね。嫌がらせだということで憤っておられる。この気持ちを抱き続けると、スピーチのたびにこのときのことを思い出してトラウマになりますよ。

大竹剛(日経ビジネス編集):途中でまた、「やめろ!」と言われるのではないかと。

上田:そう。従って、まずは「いい指摘をしてくれた」と相手に感謝するぐらいの気持ちを持って、オーナー会の人たちと接した方がいいですよ。そうすることによって、あなたは今の気分から解放されるでしょう。

 ちなみに、一般的に宴会やパーティーでのスピーチや、乾杯や締めのあいさつというのは1分から2分、これが最適なんです。

大竹:上田さんの経験からですか。

上田:いやいや。僕だけじゃなくて、大多数が1分から2分だよ。ちなみに、僕が社長だったころ、ファミリーマートでは社員懇親会、加盟店懇親会のときの乾杯や締めのあいさつは、カッコして「1分」とはっきり書いてあったんです。僕がそう書かせました。

 あいさつは、短ければ短いほどいいんですよ。もちろん、加盟店向けの政策発表会とか、社員向けの事業計画方針とか、それから私の講演とか、これは短ければいいというものではないですよ。それなりの内容が盛り込まれているわけですから、1時間というケースもあります。

 ただ、懇親会や宴会でのあいさつやスピーチというのは、開会の辞でもだいたい3分。乾杯や締めのあいさつは1~2分が普通です。

 ちなみに、文字数としては、1分でだいたい300字ですね。

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