全3771文字

上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、望まない部署に配属されて思うようにパフォーマンスを上げられないと悩む46歳の男性から。社内でのアピールが苦手で、もう一度チャレンジをしたいと思うものの家族を路頭に迷わせるリスクも負えないと悩んでいます。上田さんは「まずは明るく振る舞え」と自身の経験を踏まえてアドバイスします。

悩み:自分の強みを生かせない部署に配属されて約3年。もっとパフォーマンスを上げられると思いつつ、社内でのアピールや折衝などが苦手で思うようにいきません。50歳を目前にもう一度チャレンジをしたいと思うのですが、家族を路頭に迷わせるリスクを追う勇気もありません。どうしたら良いでしょうか。

 以前は商品開発や宣伝の業務を行っていましたが、人事異動で生産部門を経て、3年ほど前からシステム部門に所属しています。プログラムやシステム開発の経験はないのですが、独学で何とかついていっている状況です。かつての同僚で開発や宣伝部門に所属している仲間を見ているとうらやましく、自分ももう一度業務をしたいのですが、希望がかなう可能性は低そうです。

 自分の強みとしては新しいアイデアの創出や業務のプロジェクト管理は得意な半面、社内でのアピールや社内の折衝や交渉ごとが苦手なので、相性が悪い人とは業務がうまくいかず、評価が低くなる傾向があります。このまま定年まで今の業務を続けるモチベーションを保つ自信はなく、環境を変えて開発関連の業務にチャレンジしたいという気持ちはあるのですが、失敗して家族を路頭に迷わせるリスクを負う勇気はありません。

 そんな状況で同年代の知り合いに会うと最近は50歳を前に、最後のチャレンジとやりたい仕事に転じた人を何人か見ています。みんな同じようなことを考えて、決断に至ったのかという気になります。

 家庭の方は幸い、妻と長男と楽しく過ごしていて、週末はみんなで出かけたりして平日の疲れをリフレッシュしています。愚痴ばかりでまとまりがない文章で申し訳ありませんが、自分ではほかの社員よりももっとパフォーマンスを上げられるという自信はあるのですが、それもかなわずくすぶったまま、会社人生を終えるのは寂しいです。一方、家族もいるので決断できない自分はどうすれば良いのかを知りたいです。

(46歳、男性、会社員)

大竹剛(日経ビジネス編集):まさに、中年の危機、40代問題とでも言いましょうか。私も40代ですが、このような悩みを抱えている人は少なくないと思います。

上田準二:家族の生活を安定させたい、今の安定を失いたくないというのは、その通りでしょう。さて、じゃあその状況で、あなたは何ができるのか。

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングス(現ファミリーマート)の代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味はマージャン、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。2019年5月末に相談役を退任。(写真:的野弘路)

大竹:そこが問題ですね。

上田:あなたは、パフォーマンスを上げられるという自信だけはあるけど、今の環境ではそれもうまくいかず、くすぶったまま人生を終えるのは寂しいと思っている。

 だけど、転職しても、新しい会社でパフォーマンスを上げられるのか、それは分からないよね。むしろ、今と同じように、パフォーマンスを上げる自信はあるけれど、くすぶったまま、という状況に新しい職場でもなってしまう可能性もある。ですから、まず、何で今の会社でパフォーマンスを上げられないのか。転職したらできるのかと。それをしっかりと自問自答してみてください。

 あなたは、商品開発の宣伝からシステム部門に移って、何とか仕事はこなしている。独学で必要なスキルを身に付けたのはえらいよね。とても努力する人なんだと思う。

 だけど、この部門ではもっとパフォーマンスを上げないといけない。それができない理由は何なのか。その答えを自分で書いているね。

大竹:ん? どの部分でしょう。

上田:ここだよ。「社内でのアピールや社内の折衝や交渉ごとが苦手」とはっきりと書いてある。

大竹:確かに、そのとおりですね。