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上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、任された仕事を上司が勝手に終わらせてしまうことに悩む40歳の女性から。自分の仕事を上司が黙って仕上げてしまい、信用してもらえていないのではないかと心配になっています。上田さんは「自分もそうだった」と反省します。

悩み:優秀で仕事が速い上司の下で働いています。悩みは、任された仕事を、その上司が私に黙って仕上げてしまうことがあることです。そのようなことがあると「任せられない」と言われているようで、不安になります。どうしたらよいでしょうか。

 職場の上司のことで相談させてください。上司は仕事のスピードも速く、優秀な人なのですが、黙って部下の仕事をやってしまうことがあります。先日も、私が担当の取引先への支払いチェックの仕事を、その上司が何も言わずに最後の数字合わせまで終わらせており、チェック後の書類を渡されました。私が「途中までチェックしていて、残りをこれからやるところだったのですが」と伝えたところ、「もう完了しているから」と言われ、自分のすべき仕事を上司に対応してもらったことに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 それと同時に、上司が代わりにやってしまう前に、いつごろならその仕事を終わらせられるか、期限までに問題なく対応できそうか、など声を掛けてくだされば、こちらも状況に応じて「大丈夫です」とか、「立て込んでいるのでサポート頂けるとありがたいです」とかお伝えできたのにと残念に思いました。

 期限まではまだ1週間ほどあり、自分で最後まで対応しようと思っていたので、このように黙って対応されると、私には任せられないと暗に言われたようで自信を失っています。ちなみに私以外の担当者の案件でも、本人に声を掛けずに先回りしてやることがあります。上司本人は良かれと思ってやっていると思います。しかし、自分の任務はできるだけ自分で全うしたいですし、黙って対応せず先に声を掛けてもらいたいのですが、どうすればそれをうまく上司に伝えられるでしょうか。

 アドバイス頂けるとありがたいです。よろしくお願い致します。

(40歳、女性、正社員)

上田準二:僕は反省しなきゃいけないね。

大竹剛(日経ビジネス編集部):上田さんも結構、この上司のようなタイプでしたか。

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングス(現ファミリーマート)の代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味はマージャン、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。2019年5月末に相談役を退任。(写真:的野弘路)

上田:この上司、まるで昔の僕みたいだよ。一応、仕事の流れがあって、彼女の役割もこれと決まっているわけでしょう。上司は、その彼女の役割を前提に、全体を取りまとめる仕事をしているわけだよね。そうすると、彼女の担当の仕事が終わらないと全体のまとめができないとなったときに、彼女の担当部分以外の仕事が終わっていたら、自分でやってしまおうかとなるんだよね。

 別に、彼女に悪気があるとか、彼女の仕事の仕方を遅いとか、そう思っているわけではなくても、自分でさっと片付けて、その先の仕事に進みたくなってしまうんだ。彼女に対しても、「これはやっておいたから、あなたは見ておくだけでいいよ。その代わりにこっちをやって」と、また別の仕事をお願いしたりするわけだ。

 上司としては、嫌みも悪気も何もないわけだよ。チーム全体として仕事を早め早めに完結させたいと思っているんだよね。あるいは早めに完結して、念のために見直す時間を確保したいとか。

 僕も、何度も部下の仕事を自分でやってしまったことがあるよ。「期限に遅れているわけじゃないのに、私の仕事を全部上田さんがやっちゃった」と不満に思っているような顔色の人は1人もいなかったと思うけど。「すみません、ありがとうございました」という人がほとんどだった。でも、この相談をしてくれている彼女のように、内心は悩んでいた人もいたのかもしれない。そう思い返すと、申し訳なく思うね。

 でもまず、あなたは上司が仕事を代わりに片付けてしまっても、それを気にする必要はありません。あなたの仕事が遅いとか、あなたに任せたらミスが多いとか、そういうことでこの上司が代わりにやってしまったわけではないだろうから。