結果を気にせず、仕事だと割り切ることも大切だ

大竹:まずは、社長がすぐに開放的となり、積極的にリスクを取るような経営に転じることはないと諦めるということですね。そうした場合、もはや、やるべき仕事はなくなってしまうようにも思いますが。

上田:いや、ありますよ、仕事は。それは、繰り返し、繰り返し、提言をし続けることです。

大竹:でも、提言をしても社長が変わることはないんですよね。

上田:すぐにはね。時間をかけたとしても、変わることはないかもしれない。でも、提言し続けるのです。それがあなたの、仕事だから。

 まず、繰り返し提言をするということがあなたの仕事だということを、自分の心の中でしっかりと決めてください。予算があっても、その予算をどのように使うかを決めるのも、きっと、この社長ではなくて県なのでしょう。だから、県の部長にも月に1~2度は面談して、業務報告のような形で提言し続ける。

 そうすると、この県の部長からも社長に対して、「あなたのところの常務からこういうような提言があったのだが、一度、会社で検討してみたらどうか」というような提案がされるかもしれません。そうなったら、少しは提言した甲斐もあったというものでしょう。

 とにかく、あなたが動かなければ何も変わりません。動いても変わらないかもしれませんが、動かなければその可能性すらなくなってしまう。

大竹:行動しなければ、変わる望みすら生まれないということですね。

上田:すぐには理解されなかったとしても、それで終わりにするのではなくて、何度も何度も提言するんです。そうすれば理解が深まってくる。そう信じて、今の業務をポジティブに進めましょう。

大竹:何度も提言しても聞き入れてもらえないということが続くと、心が折れてしまいませんか。無視され続けるのはつらすぎます。それでも提言し続けるには、相当な気力が必要です。

上田:それが仕事だと思えばいいんですよ。

大竹:それが仕事だと……。

上田:理解してもらえなくても、提言することで私は給料をもらっているんだと。それが、民間企業から役員として出向してきた自分のミッションだとね。

 理解されないと言うけれども、へこたれる必要はないんです。相手が理解しようが、しまいが、提言するのがあなたのミッション、仕事なのだから。

大竹:結果は関係ないということですか?

上田:結果は関係ないと割り切ることです。

大竹:結果を考えると、うまくいかないとがっくりきてしまうから。

上田:そう。だから、「提言をする」ということだけを考えるんです。結果は二の次。万が一、聞き入れられればラッキーだ、くらいに考えることです。

 先ほど言ったように、天下りの社長には多かれ少なかれ、変な動きをせずに大過なく過ごそうという気持ちがあるものです。社長の考え、行動の根底に、そういう気持ちがあるものだと理解することです。もう、これは仕方がないことなんだと。

 その上で、あなたは何をやるのか。提言し続けることです。結果は関係ないと割り切りましょう。そうすることで、へこたれずに提言し続けることができるようになりますよ。

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