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「マイナス」を「プラス」だと言ってゴマをする

上田:奥さんを間接的に褒めるんですよ。部長本人がいない席でこんな話をする。

 「この間ね。部長と奥さんの食事に同席させてもらったんだけど、奥さん、すごくすてきな方なんだよ。品があるし、話題も豊富だし、気遣いも完璧。あの部長、よくあんなすてきな奥さんをもらえたものだな」

大竹:こういう話もすぐ伝わる。奥さんを褒められて嫌な気持ちになる人はいない。

上田:そう。まあ、これは1つの例で、上司とぶつかっているようなときは、相手がふっと喜ぶようなことを、直接ではなく、間接的に、しかも確実に伝わるように話すのが「間ゴマ」。

大竹:最後の「逆ゴマ」というのは何ですか。

上田:例えば、パワハラ的、高圧的な上司っているでしょう。そんなときは、もう、上司のパワハラ、怒りに便乗するんです。むしろ、あえて怒らせて、そこに便乗するくらいの高度な技だ。

 「いやあ部長、本当にあんな手当たり次第に、何でもかんでも軍隊調でガンガン、口でなぎ倒すような言い方をしていると、誰もついてこないですよ」(上田)

 「何だと? だいたいお前らが甘ったれているから、こんなことになるんだ」(部長)

 「部長はいつも、ものすごく積極的で、仕事もバンバンこなしていますが、誰にでも通用するわけではないと思いますよ。特に僕なんかは、部長の迫力に負けちゃって、次の行動、取れなくなるんです。本当に部長の怒り方はすごいんですから」(上田)

 「上田のやる気が足りないだけだろう」(部長)

 「部長が怖すぎるんですよ。僕はまだ鈍感だから大丈夫ですが、周りにも同じようにやられたら、部長の迫力で一撃でつぶれてしまいますよ。お願いですから、息の根を止めないでください。部長はすごすぎるんです。運動部でもやっていたんですか。確かラグビーですよね。本当にすごいですものね」(上田)

大竹:怒っていることそのものを褒めるということですか?

上田:要するに、普通のゴマすりは、よいしょすることでしょう。でも、よいしょしても、「何だお前、ゴマばかりすりやがって」と、ゴマすりをものすごく嫌う人もいるでしょう。だから、「逆ゴマ」をするわけです。怒り方がものすごく怖い上司に対しては、その怖いところがすごい、素晴らしい、と褒める。普通は「マイナス」として受け取られることを「プラス」だと言ってゴマをする。だから「逆ゴマ」。