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上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、定年を目前に控えた58歳の大手商社マン。無事に再雇用されるか不安をいだきながら、転職先探しにも踏み出せずにいます。そんな相談者に上田さんは「前向きにスキルの棚卸しを」と助言します。

悩み:某商社で働いている58歳の正社員です。定年後再雇用で65歳まで働けるようになりましたが、望んでも残れるのはごく一部とか。どうしたらよいでしょうか。

 もうすぐ58歳の誕生日を迎える某商社に勤務する正社員です。世の中、定年延長の方向に進んでおり、弊社も65歳まで再雇用の形で残れる制度だけはできましたが、望んでも残れる人はごく一握りというのが実情らしく、再就職先は自分で見つけなければならないようです。

 一方、現在の業務は内部監査と社内を相手にするものなので、取引先に自己アピールする機会もありません。このままだと定年退職後はコンビニエンスストアでバイトするしかないか、とも思います。どうしたらよいかアドバイスをお願い致します。

(57歳 男性 会社員)

大竹剛(日経ビジネス):今回も、前回に引き続き定年後再雇用に関連した悩みです。最近、こうした悩みを抱える方が増えてきているのかもしれません。

(関連記事:定年後再雇用で若者中心の職場になじめません

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。2019年5月末に相談役を退任。(写真:的野弘路)

上田準二:そうですね。この方は「某商社」ということだけれど、大手であれば、65歳までの再雇用の制度を人事部がつくって、希望者に対して「あなたはオッケー、あなたはダメ」というようなことは基本的にはないと思うけどな。

大竹:定年が65歳未満の会社は、定年後、まだ働きたいという希望者を雇用しなければならないと義務化されました(ただし、2025年まで経過措置が認められています)。

上田:普通は希望者全員が対象です。だから、あなたも今から被害者意識をお持ちになる必要はありませんよ。実態として再雇用後、うまくなじめず働きづらいということは、職場によってはあるかもしれないけれど、あなたが今の会社で働き続けたいのであれば、それは強く主張してください。まずそれを、1つ前提として覚えておきましょう。

 それを踏まえたうえで、もし、転職したいというのであれば、今から行動を起こせば可能性はゼロではありません。ギリギリまだ50代。内部監査を担当しているということは、専門性のある経験を持っていることでしょう。

 最近では、どんな会社でも「ガバナンス」がキーワードになっています。とにかく、ガバナンスが相当、厳しくなってきているから、内部監査という専門性と経験を持ったシニアの社員をほしいという会社はあるでしょう。コーポレートガバナンスを機能させるために、専門性のある人がどれだけマーケットにいるかといったら、そんなに多くないんですよ。しかも、某商社と書いてあるけど、商社はいろいろな事業を抱えているから、ガバナンスのノウハウは他の業界でも生かせるかもしれません。

大竹:なるほど。