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上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、定年後再雇用の働き方に悩む61歳男性から。希望の仕事ができないうえに、若者中心の職場で精神的に塞いでいます。転職にチャレンジするも、うまくいかないとか。そんな男性に上田さんは「転職はムリ。今の職場で若者とのコミュニケーションを楽しめ」と叱咤(しった)激励します。

悩み:定年後の再雇用で、希望する仕事ができませんでした。昇進・昇格もなく、若い職場で精神的にもつらいです。転職も考えましたが、うまくいきません。どうしたらよいでしょうか。

 60歳で定年し、再雇用を機にこれまでの仕事(希望した仕事)から全く望まない職種、適性のない職務へ異動になりました。「チャレンジしろ」ということですが、現在61歳、最長4年の勤務を考えると、会社のためにチャレンジしてもいいアウトプットは望めません。

 契約社員のため昇給、昇進はなく、それなら転職しようと考えて行動を起こしたものの、人材募集の要件を満たしていても断られ続けています。おそらく、年齢が理由だと思います。肉体労働系の仕事の募集もありますが、持病の腰痛が悪化するのではないかと不安です。

 現在与えられた仕事に感謝し、慣れる努力はしていますが、飛び込み営業的な業務で若者が中心の職場で、精神的にも塞いでいます。個人的に経済的には困っていないので、この先は週4日程度の仕事で気楽にいきたいと思っているのですが、上場企業から退職することに決心がつきません。また、妻の理解も得られません。独り者なら辞めているのですが……。

(61歳 男性 契約・派遣社員)

大竹剛(日経ビジネス):今回は60歳で定年になり、その後、再雇用で働いている61歳の男性からです。

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。2019年5月末に相談役を退任。(写真:的野弘路)

上田準二:定年になり契約社員として再雇用されたということだね。

大竹:再雇用してもらったのだけど、自分が希望する仕事ではなく、しかも契約社員で昇給・昇進はないということに不満を持っています。転職を考えたり、悠々自適な生活を送りたいと思ったり、心も揺れているようですね。しかも、「上場会社」という肩書を失うことに対して、ご本人も妻も決心がつかない様子です。

上田:はっきり言って、よほど専門的なスキル、あるいはマネジメントの力があるという方であれば転職のチャンスもあるでしょうが、一般的には上場会社で定年になった方はあまり期待しないほうがいいと思いますよ。いくつか採用試験を受けているようですが、断られ続けているということは、期待されてないからです。

大竹:それが現実ですか。

上田:まず、そういう現実があるということは理解したほうがいいですね。定年後に転職して活躍するには、専門的なスキルか、しっかりとしたマネジメント能力があることが前提です。そうではないのに他社からお呼びがかかっても、相手から過剰な期待をされているので、その期待に応える能力を発揮できるのかどうか慎重に考えないと、転職してから大変な精神的苦痛を感じる結果になります。

 従って、相談内容から判断する限り、あなたは転職を考える必要はないと思う。

 この上場企業の中で残り4年、65歳まで会社に与えられた部署でいかに自分が楽しく働けるかということに集中してください。特に、若い人とのコミュニケーション、仲間意識を大切にしましょう。あなたのこれまでのキャリア、経験を若い人が有益になるように伝えてください。そういう思いで4年間頑張ってください。