全3691文字

上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、専門性を生かせない場当たり的な人事で、キャリアプランを描けないと悩む28歳の男性から。上田さんは「せっかく入った会社。専門性にこだわらず仕事を楽しめ」とアドバイスします。その理由は?

悩み:入社4年目。自分の専門性とは異なる部署に配属される場当たり的な人事で、キャリアプランを描けません。どうしたら良いでしょうか。

 私ごとで恐縮ですが、上田さんは大学の大先輩とのことで……。ちょっとした縁を感じ、相談を投稿させていただく次第です。

 私の悩みは、部内の人事についてです。私は、新卒4年目のエンジニアです。私の所属している部署は、会社のエレクトロニクス関連事業を統括する部署で、以前はそれぞれの事業部に離散して所属していた電気系のエンジニアが集合してできた部隊です。(入社年次に発足した)社内では経験のない新規事業と電気系の既存事業を担っているのですが、人材不足が災いしてか、本来はソフトウエアのエンジニアである人が工程設計をしたり、ハードウエアのエンジニアが機械設計をしたりと、人材が100%の力を発揮できない不適切な人材配置が散見されます。

 かく言う私も、場当たり的な配置転換により、自分のキャリア形成をイメージできないまま時が過ぎています。他部署の同期が着実に専攻を生かし、キャリアを積み上げている様子を見ると、不安な気持ちが込み上げてきます。上田さんはこのような人材配置をどのように思いますか?

(28歳 男性 会社員)

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。2019年5月末に相談役を退任。(写真:的野弘路)

大竹剛(日経ビジネス):今回は、上田さんの後輩からです。山形大学の卒業生の28歳。大学での専攻を生かせない人事に悩んでいます。

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス元相談役):後輩には、キャリアアップというのは何か、ということを改めて考えてほしいね。これまでのキャリアが将来、どのように役に立って、昇進していくかは、なかなか自分の思い通りにならないこともあるよ。よく上場会社の社長さんのキャリアを見ると、自分の専門外のところにいろいろ異動させられて、結果的に社長になった、という人も少なくないでしょう。

 本人は「専門外のところに異動させられた」と思うかもしれないけど、会社には「これまでと違う分野も経験してもらってキャリアの幅を広げてほしい」という狙いがあることもある。メーカーなり流通なりの社長を見ると、その道一筋、という人は意外と少ないんですよね。

 そう考えると、キャリアアップというのは何か。

大竹:必ずしも自分の専門性を突き詰めることだけではない、ということですか。