上田準二さんの「お悩み相談」。今回はスーパーでパートとして働く40歳の女性から。50代マネジャーによるパワハラ行為に悩んでいます。上田さんは「スーパーのパートさんはマネジャーより立場が強い。今すぐ反撃を」と助言します。
悩み:スーパーのパート3年目。マネジャーによるパワハラに悩んでいます。仕事も職場も好きなのですが、どうしたらよいでしょうか。
スーパーでパートとして働いて3年目になります。主に住居品の品出をしています。50代の男性社員(マネジャー)、50歳前のベテランパート、再雇用契約社員4人の部署です。そのマネジャーの言葉遣いに悩んでいます。
この部で年齢が一番下なのは私だけ。そのせいか、私にだけ態度が威圧的で横柄です。言われたことは真面目に黙ってやる私に対して、だんだんと言動がパワハラのようになってきました。
他の人に頼むこともできるときでも私だけにいくつも仕事を押しつけたり、休日なのに私の都合を聞かずに勝手に勤務を入れたりします。私に話すときも、大きな音をわざと立て、「もっとやったろか」などの言葉を浴びせてきます。
前もって伝えていた休みについても、「楽するねんから」などと言われ、精神的に仕事をする意欲がそがれていきます。
そうした嫌がらせは、いつも2人だけのときにされます。その他にもいろいろありました。こうした状況は2年半ほど続いており、もうこれ以上エスカレートしたら困るので、私は何とか態度で示そうとしてきました。しかし、最近は職場にいづらく、退職するか、他部署に異動するか、選択しなければならないと考えています。(仕事は好きでたくさん知り合いもいるので)、退社ではなく、他部署への異動願いを出そうと考えています。
他の部署に異動したら、この悩みは解決するものでしょうか。それとも、また違う形で嫌がらせなどがあるでしょうか。
(40歳 女性 アルバイト・パート)
1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。2019年5月末に相談役を退任。(写真:的野弘路)
大竹剛(日経ビジネス):今回のお悩みは、上田さんが関心を持つのではと思っていました。
上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス元相談役):これは本当の相談?
大竹:もちろん本当の相談です。
上田:うちの子供は、あるスーパーで売り場を受け持っているのだけど、この方と同じようなパートの女性が4人ほどいるようなんだ。品出しから何から、パートの方がいないと回らない。
うちの子供はよく言っているよ。パートがいなければ、自分が責任を持っている売り場を維持できないと。だから、本当にどちらが上司か分からないぐらい、彼女たちに気を使っていると言っているんだ。気持ちよく働いてもらえるようにね。もし、辞めてしまったら、大変なことになるからと。
だから、売り場のマネジャーというのは、いかにパートと仲良くなって、きっちりとコミュニケーションをとれるかが一番重要なんだ。スーパーのマネジャーとは、そういうものなんです。
だけど、このマネジャーはそういうことが分かってないようだね。威圧的で横柄で、パワハラ的だと。これで本当にあなたが辞められたら、困るのはこの50代のマネジャーだよ。
スーパーのパートさんはマネジャーより立場が強い
大竹:そうでしょうね。
上田:今、小売業の現場で働くスタッフは人手不足で、誰かに辞められると現場はすぐに回らなくなるような状況です。あなたなら、もしこのスーパーを辞めても、すぐに近くにある別のスーパーで採用されると思いますよ。3年の経験があれば、どこに行っても即採用でしょう。
一方で、他の部署に異動する場合でも、異動先からは歓迎されるのではないかな。あなたの後任をどうするのかという問題はあるかもしれないけど、いろんな仕事をこなせるパートさんというのは、本当に貴重な存在です。
こういう方のニーズというのは、同じスーパー内でも、他店のスーパーでも、ものすごくありますよ。いつでもあなたは、他の部署なりスーパーなりに移ることができるはずです。
従って、この50代のマネジャーには、「あなたが今の態度を改めてくれなければ、私は他部署に異動するか、他のスーパーに転職するか、すぐにでも考えます」と、はっきりおっしゃった方がいいですよ。
ちなみに、他部署に異動になった後、あなたのことを追いかけて嫌がらせを続けるということは、それはありません。
大竹:あり得ない。
上田:絶対あり得ません。
大竹:異動すれば、基本的には解決するということですね。
上田:お悩みになることはありません。このマネジャーにはっきりと言っても、態度を改めないのなら、働く場所を変えましょう。マネジャーにそう言っても、あなたに被害が及ぶことは、まずないですよ。
大竹:異動希望は誰に言いますか。マネジャーの上司に、このマネジャーの態度について報告するのでしょうか。
上田:異動したいのなら、マネジャーの上司か人事に言うしかないでしょう。いずれにせよ、異動希望を伝えたら、このマネジャーにはあなたが行動に出たことは知られることになる。でも、それは気にしないでください。スーパーにとってパートさんはかけがえのない戦力なんだから、あなたの声はきっと、聞き入れられるでしょう。
大竹:今、置かれている状況を冷静に見れば、もっと主張した方がいいということですね。
上田:そうです。あなたの立場の方が、マネジャーより強い。パワハラ的な上司からストレスを与えられるということを、きっちりと主張しても大丈夫ですよ。
大竹:自信を持って主張してくださいということですね。
上田:今、40歳ということですが、まさにスーパーにとっては戦力で、どこに行っても活躍できますよ。パワハラ上司の下で我慢している必要はありません。
読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。
>>悩みの投稿<<
*この連載は毎週水曜日掲載です。
本連載「お悩み相談~上田準二の“元気”のレシピ」が本になりました! 反響の大きかった話を中心に、上田さんのアドバイスをぎゅぎゅっと編集して詰め込みました。その数、全35個。どれも読むだけで元気になれるアドバイスばかり。上田さんの“愛”がたっぷりのお悩み相談本となっています。ぜひお手にとってみてください。
『とっても大きな会社のトップを務めた「相談役」の相談室』は、絶賛発売中!
本連載で反響の大きかった35の相談が1冊の本になりました!
◇概要◇
『とっても大きな会社のトップを務めた「相談役」の相談室』
<第1章 人間関係に効く>
Q 上司の顔色ばかり見る組織に辟易/Q 上司が危機感を持っていない/Q 理不尽な部長の罵倒に耐えられない、など9個
<第2章 自分に効く>
Q 成長できる「前の職場」に戻りたい/Q もうここで「昇格」は終わり?/Q いいかげん、ぎりぎり癖を直したい、など15個
<第3章 恋愛・生き方に効く>
Q 安定した仕事を持つ男性の方がいい?/Q 出産のタイムリミットが近づいて/Q 年収も家柄も良いのに婚活失敗、など11個
この記事はシリーズ「お悩み相談~上田準二の“元気”のレシピ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?