上田準二さんの「お悩み相談」。今回は40歳の女性公務員から。係長になってから、周囲の男性からの「女のくせに」といった陰口に不愉快な思いをし続けています。コミュニケーションを円滑にするにはどうしたらいいか。上田さんは「『女だから』を意識するな」とアドバイス。その真意は。
悩み:職場の男性から、「(実力はなくても)女は昇任試験に受かりやすいから」「あいつもいい奴なんだけど(女としては残念、女を捨てている)」といった陰口を言われています。どうしたら、コミュニケーションを円滑にできるでしょうか。
地方公務員で、技術職の係長をしています。係長になって以来、職場での女性責任職に対する発言などでたびたび不愉快な思いをしています。表向きには女性活躍をうたっているものの、上司・同僚・部下を問わず、特に年齢や職位の近い人を中心に、本音では私のことを認めたくない、引きずり下ろしたいと思っている様子が、何となく伝わってきます。
例えば、「(実力はなくても)女は昇任試験に受かりやすいから」、「あいつもいい奴なんだけど(女としては残念、女を捨てている)」、「あいつの部下にだけはなりたくない」と言った発言(と行間のニュアンス)で盛り上がっています。男女で接し方があからさまに違ったり、一方的に敵意を持たれたり、やたらと上から目線で接してきたり、仕事がやりにくいです。
上司に事情を説明することもありますが、理解は得られても気持ちの上ではむしろ相手に共感しているようで、状況を変えてもらうのは期待できません。あからさまではないがゆえに、何となくその時間が過ぎることを待つといった状況が繰り返され、そのたびに、心穏やかではありません。
技術職という性質上、男性多数派の環境は受け入れざるを得ないのは承知しています。その中で、より良いコミュニケーションを取り、仕事をしやすい環境を作っていくためのアドバイスをいただけないでしょうか。
(40歳 女性 公務員)
大竹剛(日経ビジネス):女性だからということで、いろいろと陰口を言われたり、不愉快な思いをさせられたりしているようです。男性中心の職場で、どうしたら良いコミュニケーションが取れるかという相談です。
上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス元相談役):こういうことを気にしたり、意識したりすると、ますます女性は仕事がやりづらくなるよね。この方は、男性と肩を並べて競争をして、いずれは昇進していくのかもしれません。そのような女性はなおさら、周囲の男性から嫌がらせを受けるのでしょう。
だけど、そんなことを気にしてはいけません。「あなたの部下にだけはなりたくない」と陰口を言うような男には、逆にあなたは心の中で「あいつを絶対部下にしてやる」と決意してください。「あの男、ついでに鍛え直してやる」と。それぐらいポジティブな気持ちでいないと、男たちの思うツボです。
「女としては残念」なんて偏見に対しても、「女である」という意識をあなたが持つ必要はないよ。男女機会均等法とか女性活躍とか、世間では言われていても、「『女だから』といって変なハンディキャップをいただかなくても結構だ」と、それくらいの気概でいてください。そうすれば周りもいずれ、こんなことも言わなくなるよ。
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