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やり方次第では「バーチャル」な世界から引き戻せる

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。(写真:的野弘路)

上田:僕らの世代は考えられないよね。平日の夜だけではなく、土日も丸一日、遊んでいると。

大竹:上田さんには考えられない。

上田:考えられないけれども、そういう世代なんだね。20代?

大竹:相談してくれた方は27歳です。

上田:きっと旦那さんも同じぐらいの年齢でしょう。

 例えば、彼女も別室でVRにはまってみたらどうかな(笑)。そうするとご主人も、「全然2人の会話がないじゃないか」と言いだす可能性はあるよね。

 

 だけど、彼女はそのようなことはあまり好きじゃないというのなら、それを無理してやる必要もない。ただ、彼女も何か2人でやれることを計画して旦那に提案してみたらどうでしょうか。

 

大竹:奥さんの方から……。

上田:そう。まずはね。VRに負けない、面白い遊びを考えて提案してみる。

大竹:例えばどんなことですか。

上田:一緒に夜にどこかに会食に行くとか、パーティーに行くとか、映画を見に行くとか。日中仕事をしていても、夜にどこか出掛けると考えれば、いっぱい選択肢はあると思うんですよね。

 土日は旅行するとかね。旅行先にもこの旦那はおそらく、VRを持っていくだろうけど。それでも旅行に行けば、一緒に会話する時間、行動をする時間が取れるでしょう。

 

大竹:バーチャルの世界の方がリアルの世界より楽しいと、この旦那さんは思ってしまっているのかもしれませんよ。それをひっくり返すことは可能なのでしょうか。

上田:やり方次第だと思うな。

 最近は、うちの女房もスマホをいろいろ使えるようになったんだよ。以前だったら一緒にいれば2人で話す時間は結構あった。ところが、最近は女房と晩酌をしているときに、いやに静かだなと思ったら、こっちが話しているのに料理と酒を目の前にしてスマホをいじっている。

 「おい!お前は何をやっているんだ」と言うと、「いや、ちょっと今は途中だから」と何やらわけのわからないことを言う。「何だ、メールか?」と聞けば、「いや、メールはさっき打ち終わったの。別のあれがあって」とかね。なんだかな、と思うよね。

 

大竹:上田さんも、そんなふうにスマホを使わないんですか?

上田:ところが、最近は僕もやるようになってきた(笑)。

 もう準備ができたら食事にするとか、出かけるとか、女房がそう声をかけても、僕もスマホをやっていて返事をしないわけ。そうすると、「あんたは人のことをいつも言っているけど、自分だってそうなったじゃないの」と言い合いになる。

 だけど、それはお互いにそんなふうに言い合っていれば、「あ、そうだね」と気が付いて、スマホをいじるのをやめる時間が当然でてくる。そういうことをやっぱり言わなきゃいけないよ。「もういつまでやっているの」とね。

大竹:なるほど。

 でも上田さん、最近はVRかもしれませんが、昔から旦那が趣味にはまってしまうということはありましたよね。例えばゴルフとか、釣りとか、マージャンとか。

 

 夫が妻とは違う世界にどっぷりはまってしまって、妻との会話がなくなってしまうということは、昔からよくあったのではないですか。

 

上田:そういうことは確かにあるよ。でもそうなってしまうのは、1つの病気だね。

大竹:病気ですか。