友人医師に緊急アンケート、地域で温度差

 さて、気の重い話ばかりでしたが、ちょっと現場の声を聞いてみましょう。つい先日(3月25日〜4月3日)、全国に住む私の友人医師たちにアンケート調査を行いました。アンケートからは、かなりの温度差のある意見が聞こえてきます。

 感染者が10人以下のとある地方県の内科医は、この感染症の影響として「散発的にCOVID-19の疑いがある患者に対応する」のみで、今のところそれほど業務は増えていないと答えました。

 かくいう私も、執筆時点で感染者が10人以下の福島県で勤める外科医ですが、同じようにほとんど日常業務は変わらず、大腸がんや虫垂炎などの患者さんの手術を毎日しております。

 そうかと思えば都市部のがん専門病院の内科医は、「普段のかかりつけ患者からの問い合わせが増えて説明が多くなった。さらに、新型コロナ疑いの場合は、院内検査や他院紹介に、特別な配慮が必要で手間がかかる」という影響が出ているそうです。

 なるほど、これは大変そうです。病院というところは余力がないところですから、例えば患者さん1人につき5分の説明時間がプラスにかかると、外来診療などは容易に破綻します。問い合わせ対応だけでも、かなり医療資源が減っていくでしょう。

 この内科医は「重症患者が増えた場合、どんな不安があるか」という質問に対して、「病院の紹介が難しいことと濃厚接触医療者が就業不能になる点。さらに、院内のアウトブレイクが危惧される」と回答しました。確かに、がん患者さんは数年という長い経過で治療していることがあり、そういう患者さんを他の病院に手紙一つで紹介して通院してもらうというのは容易ではないでしょう。

外来通院患者の受診控えも

 また、感染症にかかった患者さんに十分な対策をしないまま濃厚接触した医師や看護師は、就業不能(例えば2週間は自宅待機)になるケースが多いようです。先程も書きましたが、病院というところはとにかく人的資源の余力がないところ。例えば医師が1人、2人減るだけで、現場はかなりまずい状況になるでしょう。

 他の医師の回答を見ると、「通常の外来通院患者は減った」というものが多くありました。なるほど、特に頻繁に来る必要のない患者さんは、長期処方などをすることで受診の間隔を延ばしているのでしょう。加えて、「2カ月前からなんとなく調子が悪い」のような急ぎでない症状の患者さんの受診控えが起きているのでしょう。

 整形外科や消化器外科など外科系の医師は、「今後、新型コロナウイルス感染症で人工呼吸器が使われ、必要な手術ができなくなる」ことを懸念しています。そのような二次的な影響もあるでしょう。

 アンケートからは、地域によって影響には大きく差があり、まだ感染者数が増えていないところではそれほど切迫した様子はありませんでした。これから数週間で感染者数が増えていくとどうなるか、注視していきたいと思います。読者の皆様には引き続き、頻繁な手洗い、健康への配慮をお願いいたします。どうぞお気をつけて。

 それではまた次回、お会いしましょう。

※業務で多忙の中、アンケートにご協力いただいた知人医師の皆さんに、心からの御礼を申し上げます。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「一介の外科医、日々是絶筆」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。