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 皆さん、こんにちは。総合南東北病院外科の中山祐次郎です。新型コロナウイルス感染症のニュースが連日やかましいほどですが、お元気でお過ごしでしょうか。業界によっては業務内容が大きく変更されたり、生活が一変してしまったりした方もいらっしゃることと拝察いたします。

 少し間が空いてしまいましたこの連載、今回は前回までと同様、新型コロナウイルス感染症について私の意見をお伝えしたいと思います。

 さて、まずは近況を。先日、私は京都大学大学院を卒業いたしました。公衆衛生学修士という肩書をいただき、さらには柄にもなく京大から優秀賞など頂戴し、大学院の学位授与式では専攻の代表として学位記を総長から受け取る………はずだったのですが、なんとコロナで中止となり郵送になりました。とはいえ医学研究科社会健康医学系専攻の専門職学位課程で最優秀であるらしく、臨床医を中断して勉強・研究した甲斐(かい)がありました。

京大からいただいた優秀賞の賞状

 そんな折、私のもう一つの仕事である小説が出版されました。1年前の処女作「泣くな研修医」(幻冬舎)が9刷、3万3000部と売れたので続編執筆を許され、この4月に発刊となりました。続編のタイトルは「逃げるな新人外科医〜泣くな研修医2」。第1作で医者になりたてだった研修医が2年で成長し、今度は新人外科医となりメスを持つ――そんなお話です。

 外出をしづらい昨今、小説などいかがでしょうか。現役外科医の私が書くのですから、これまでにないリアルさにこだわった作品です。こんなふうにして外科医は成長していきます。

自宅にて、2冊の文庫とともに

「医療が崩壊した」とはどんな状態?

 では本題に入ります。新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっていますが、日本でもじわじわと患者数が増えてきました。本稿執筆時点ではギリギリ感染爆発には至っておりませんが、感染者の増加スピードが上がってきており、このまま行けば1日に1000人、そして1日に1万人となっていく危険性もあります。

 そんな中、イタリアや米国など死亡者数の多い国から学べるのは、「医療崩壊をするかどうかで死亡者数が決まる」という点であることは専門家の間では議論のないところだと思いますし、私もそう思います。日本医師会が「医療危機的状況宣言」を表明したのは4月1日でした(関連記事)。

 とはいえ、そもそも医療崩壊とは何でしょうか。どうなったら「医療が崩壊した」という状態なのでしょうか。俗語であり明確な定義はありませんが、私の考えでは「ある地域において、医療機関に患者の受け入れができなくなった状態」と定義することができると思います。では、どんなときに医療崩壊が起きるのでしょうか。