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 皆さん、こんにちは。総合南東北病院外科の中山祐次郎です。今回も前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症のお話です。クルーズ船での集団感染があったり、医師の感染者が出たりと日本でもじわじわと影響が広がってきた印象を受けています。知人のつてをたどって、中国・武漢の医師にもメールでインタビューをしましたので、その結果も併せてお伝えします。

新型コロナウイルスが発生した武漢の医療施設では、今も懸命に働く医師たちがいる(写真:AFP/アフロ)

 まずは近況から。私の住む福島県郡山市では、まだ2月中旬だというのに突然の春の陽気。全国と同じように、こちら南東北でも暖かな日が続きました。国産中古車での通勤も窓を開けてのドライブです。コートももういらないかなあ、なんて考えています。それでもまた寒くなるようですから油断は禁物なのですけれどね。

 先日は、京都にも行ってまいりました。私は医師の傍ら大学院生として京都大学にも在籍しており、修士課程修了のために必要な修士論文の提出と発表会があったのです。各自、発表に12分、質疑応答に13分。全体としては40人ほどが丸2日間をかけて発表をしていきます。2年間の研究の成果を出すのですが、激しい質疑応答に遭い、発表会後に泣いてしまった学生も。私はといえば、2日目の最後から2番目の「トリ」という嫌な発表タイミングでしたが、なんとか無事に終えることができました。厳しい質問にも、焦らずユーモアを交えてのdefense(学位審査の発表会のことを英語でこう呼ぶそうです)ができました。

 さて、本題に入りましょう。冒頭で触れた通り、前回の記事「新型コロナウイルスは怖いのか?」からだいぶ状況が変わってきております。前回は、報道を見るに当たり2つのポイントをお示ししました。すなわち、

  1. 医療従事者(医師・看護師など)に感染があったか
  2. 流行地域はどこか

というものです。

医療従事者への感染でよぎった懸念

 これらのうち、「②流行地域はどこか」については、いまだ日本では流行地域と呼べるようなエリアは存在していません。厚生労働省も2020年2月13日現在、「新型コロナウイルス感染症は、我が国において、現在、流行が認められている状況ではありません」と明言しています(厚労省の発表)。感染者は、東西のいくつかの都道府県で散発的に発生している状況です。そう考えると、あまり「このエリアは危ない」というような状況ではなく、インフルエンザのように全国的に一度は広まってしまうかもしれないな、と私は考えています。車や飛行機で容易に国内を移動できるこのご時世ですから、北海道の人が九州に行って、なんてことが普通にありますものね。

 クルーズ船の乗客は20年2月18日現在で454人の陽性となりましたので(厚労省の発表より)、これらの患者さんがどの地域の病院で治療を受けるか(軽症者はクルーズ船で治療をする可能性もありますが)にも今後、注目したいと思います。クルーズ船の乗客には高齢者が多いということですから、一定数は重症者が発生する可能性も否定できません。

 「①医療従事者(医師・看護師など)に感染があったか」についてですが、2月13日に和歌山県の男性医師が感染したと厚生労働省が発表しました(発表資料)。ついに、と思うとともに、これから医師や看護師など医療関係者の間で感染が広がっていくかもしれないな、とも感じています。医療関係者で広まると、持病や高齢などの理由で感染に弱い人たちにも感染していく可能性が高まります。医者が働く病院には、重症の糖尿病やHIV感染症にかかっている方、抗がん剤治療中の方など、易感染性といわれる、普通の人は感染しないような病原体でも感染症を起こす方が多くいらっしゃいます。こういう患者さんに感染すると、死亡の危険がありそうです。