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同僚医師宅では床上浸水も

② 台風の大雨で大きな被害(9月、10月)

 東日本の皆さんは覚えていらっしゃると思いますが、19年は大きな台風が直撃しました。私の住む福島県郡山市でも甚大な被害が出て、死者6名、浸水被害は2万世帯を超えました。

 私の家や勤務先病院では幸い被害はほぼありませんでしたが、同僚医師の中には川の近くに住んでいたため床上浸水し、溺れかけて夜中に病院に避難した人もいました。人口33万人のこの小さな都市に、河川周辺からの避難指示対象者が8万5000人も出たのですから驚きです。

 また、市内の病院では、浸水被害でCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)など高額医療機器が壊れて、2ケタ億円もの損害が出たとの噂もあります。その病院での救急患者の対応ができなくなったために他の病院の負担が増えたのか、私も救急外来の当直をしていて、いつもより患者さんが多いなという印象を受けました。福島の台風被害はテレビ番組「日テレNEWS24」に出演して伝えました。

「日テレNEWS24」に出演し、福島の被害についてお話しする機会を得ました

 医学をいくらやっていても、自然災害にはとうていかなわないと思い知らされる苦々しい経験となりました。

容疑者を治療する医師の苦悩……

③ 消費税率10%に引き上げ(10月1日)

 消費税率が上がったことに伴い、実は病院によっては収入が減るところもあります。例えば、「急性期病院」(急性または重症の患者さんの治療を24時間体制で行う病院)では、消費税のかかる物品購入が多いのですが、その分を患者さん負担に転嫁することはできず、結局は病院が負担しています。負担分は診療報酬改定でカバーするとされていますが、診療報酬のアップ分は十分ではなく、結局は病院の持ち出しとなっています。そのことは病院団体からも厚生労働大臣あてに要望書が提出されています。

④ 36人死亡の京都アニメーション放火事件、容疑者の容体が改善(11月)

 19年7月18日、京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」で放火事件がありました。犯人が3階建ての1階部分にガソリンをまいて火をつけ、多くの犠牲者が出ました。京都大学防災研究所の煙流動解析を読むと、発火して20秒後にはらせん階段を通じて3階に200℃を超える煙が充満し、30秒後には2階にもほぼ充満したようです。煙が充満するとおそらく数秒で低酸素状態・一酸化炭素中毒となり失神するでしょうから、逃げ道はなかったと思われます。1階部分は出口に行けないほど火が燃え盛っていたようです。

 その後、容疑者は救命され、集中治療を受けていると報道されました。それを見て私は、容疑者の治療に当たる医療者にあてたエールとしてヤフーニュースに「京アニ放火事件の容疑者を治療するということ 葛藤と苦悩」 という手記を発表しました。なぜなら、重症のやけどの治療は本当に大変であり、文字通り心血を注がねば治療はうまくいかないものであると経験的に知っていたうえ、容疑者と呼ばれるような患者さんの治療をする苦悩もまたよく存じていたからです。

 この件についても、Abema(アベマ)TVでコメントを求められたので出演いたしました。

アベマTVで事件についてコメント