頻度は高くない、しかし……

 ずいぶん膵臓がんの恐ろしさをお話ししてしまいました。が、それほど多いがんではなく、「男性では1年間に10万人当たり約29.1人、女性では1年間に10万人当たり約25.5人」です。どちらかというと珍しいがんと言えるでしょう。

 ここまでお読みになり、「じゃあどうすれば膵臓がんにならずに済むのだ」と思われることでしょう。残念ながら、膵臓がんを防ぐいい方法というものはありません。しょっちゅう人間ドックをやっていたって早期発見は簡単ではないでしょう。

 その代わりに「がんを防ぐ方法はないのか?」という問いの答えとして、今、科学的にある程度の根拠があるものを挙げておきます。これは私が考案したものではなく、大規模な研究により出た結果を基に示されていおり、信頼性は高いと言えます。がんは生活習慣病であるという側面を持っていることは、あまり知られていないでしょう。

  • ・たばこを吸っている人は禁煙する
  • ・お酒はほどほどに、1日ビール大瓶1本まで
  • ・塩分控え、果物と野菜を多めに
  • ・毎日1時間は歩く
  • ・太り過ぎ、痩せ過ぎにならない

(がん情報サービスの「科学的根拠に基づくがん予防」より)

 ざっくりと書きましたが、がん予防についてもっと詳しく知りたい方は、手前みそで恐縮ですが、2019年6月に私が出した『がん外科医の本音』(SBクリエイティブ)という新書をご覧ください。がんの専門家である私が執筆し、米国でがん研究者をしている日本人2人、そして京都大学の「健康情報」の専門家の教授に監修いただいたものです。

 最後になりましたが、柔らかなまなざしでの演技が印象的だった八千草薫さんのご冥福をお祈りし、筆をおきたいと思います。

(参考文献)
国立がん研究センター がん情報サービス 膵臓がん
膵癌診療ガイドライン2016年版 第4版

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