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ステージⅣで急激に悪くなる

 まず、がん検診を受けることのメリットから。メリットは、「そのがんで死亡することを防ぐこと」です。がんというものは、原則的に「早期に見つけて早期に治療を行えば治るもの」。そして、「あるポイントを超えてしまうと、どんな名医がどれほどすごい治療を行ったとしても、どうしても治らないもの」でもあります。

 では、あるポイントとはどこにあるのか。これは残念ながら、はっきり「ここ!」と分かるわけではありません。がんにかかってしまった人によっても、がんの種類によっても、そして治療法が年々進化している現代ではかかった時期によっても異なるでしょう。

 ただ、だいたいの予測はつけられます。例えば私の専門の大腸がんであれば、ステージⅠの人が標準治療を受けると、5年後に生きている確率は97%を超えます。しかし、ステージⅡになると90%、ステージⅢでは84%と下がっていきます。そして、ステージⅣになると急に下がり、なんと20%ほどになってしまいます。

 そうです。ステージⅣになると急激に悪くなるのです。これは大腸がんだけに限ったことではなく、多くのがんで見られます。それもそのはず。ステージは生存率を反映するように作っている面もあるからです。もう少し詳しくお話しすると、ステージⅣはほとんどのがんで「遠隔転移あり」という状況を指します。

2つの武器で「タチの悪さ」を見る

 遠隔転移とは、最初にできたがんの臓器と離れた別の臓器にがんが転移してしまっている状態を指します。「なんだかタチが悪そう」と思いますよね。このタチの悪さを測るものは何でしょうか? そんな検査があったらいいのに、と思いますよね。

 実は、現代の医学は2つの武器を持っています。1つは、「経過を見る」という方法です。これは、時間による経過を見ることで「がんの勢い」がどれほどかを推測するもの。例えば、もともとの大きさが1cmのがんがあったとして、2年かけて1.2cmになるものより、1カ月で大きさが5cmになり他の臓器に転移するもののほうがはるかにタチが悪そうです。現実的にはがんを放置することはなく、見つけたらすぐに治療をしますが、それでも検査や患者さんの仕事の都合などで1~2カ月ほど治療が遅れ、たまたま増殖スピードが見えてしまうことがあります。はからずもタチの悪さが見えてしまうのです。

 もう1つは、「病理診断」という武器です。これは、調べたいがん細胞を取ってきて、その細胞を顕微鏡を通して見ることで、どれくらいタチが悪いかを測定することができます。現在では、乳がんなどでは「病理診断」の結果によって治療法が変わる場合もあるのです。

 がん検診では、定期的に検査することで、がんがないかどうかをチェックします。ですから、タチがとても悪いものに対してはあまり効果を発揮することができません。1年間隔で検査しても、発生して半年で手がつけられないほど進行してしまうがんであれば、検診は無力です。

 一方で、今の医学では「誰がどれくらいタチの悪いがんにかかるか」は分かりません。ですので、年齢を区切って全員一斉に検査をする。そして中には運良く早めにがんが見つかり、治療を受けて治る人がいる。ここまでが、がん検診のメリットの説明になります。