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 こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。8月に入り、暑い日々がやってきました。全国で猛暑のニュースが流れていますね。昨年、京都にいたときに「最高気温38度」を5日経験しましたので、こちら福島での35度にはそれほど苦痛を感じません。とはいえ皆様、本当に熱中症にはお気をつけて。病院にも多数熱中症の患者さんが受診されています。特に死亡率が高いのが高齢者ですので、読者の皆様の親御さん世代にも「クーラーをつける」「のどが渇かなくても水分をとる」ことをお伝えください。

 さて、今回はがんの「先進医療」についてお話ししましょう。先進医療について、その意義と必要性についてここまでまとめたものは他にありません。さらに私個人の医者としてのスタンスも本音を書きました。なお、今回も引き続き、今年の6月に出版した著書『がん外科医の本音』から引用しております。ありがたいことに、本書は全国の本屋さんでご好評をいただいております。

先進医療は治療に必要なのか?

 皆さんは、先進医療というものを聞いたことがあるでしょうか。最近、名前が知られてきたもので、生命保険会社などの「先進医療特約」でご存じの方もいるかもしれません。これは何かと言うと、厚生労働省によって指定されている新しい治療のこと。「先進」という名前はついていますが、ちょっとこの言葉のイメージはぴったりではありません。

 先進医療は、「これから保険診療の一つとして認めるかどうかの候補生のような新しい治療」とも言えます。保険診療とは、有効性や安全性が確認されていて、それゆえ割引料金(多くの人は3割負担)で受けられる治療のこと。これは、検査も手術も薬もすべて事細かに決められており、辞書のような分厚い本に載っています。

 先進医療は保険診療の一つに入ることを目指している治療で、新しいものですが、保険診療を超えた先進的なもの、という意味ではないことに注意が必要です。あくまで保険診療になる手前の治療法のことだと考えてください。

 手前である理由は、大ざっぱに言えば有効性や安全性が高いレベルで証明されていないからです。通常、保険診療の一員になるためには、効くことと安全であることがきっちり示されていることが必要です。過去には結構、適当な証明だったものもありますが、今はしっかり証明され、評価されています。

 参考までに、厚生労働省のいう先進医療の定義は、「将来的な保険導入のための評価を行うものとして、未だ保険診療の対象に至らない先進的な医療技術等と保険診療との併用を認めたもの」です(厚生労働省ホームページ「先進医療の概要について」より)。先進医療は89種類(2019年7月1日現在)もあります。どんなものがあるのでしょうか。

(写真:UFO RF/a.collectionRF /amanaimages)