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オプジーボ──最新の薬はどうか

 最後に抗がん剤自体の進歩についても述べておきます。「30年前と同じ薬をよく使っています」と前述しましたが、昔からの薬に加えて新しいメカニズムで効く薬がどんどん出てきています。

 その一つが、「分子標的薬」と呼ばれるもの。簡単に言えば、がん細胞にだけ攻撃をしてがんではない正常な細胞には攻撃をしない薬です。この種類の薬はたしかに副作用が少なく、効果が高いものが増えてきました。さらに、最近になって「オプジーボ」に代表されるような新しい薬も出てきました。効果があり、副作用が少ない薬です。

 ただ問題は「非常に高額である」という点です。患者さんは「高額療養費制度」という制度を使えば、「1カ月に自腹を切るのは◯円まで」となります。患者さんの出費は月7万~10万円くらいと、決して少額ではありませんが、50万円以上する薬の金額からすると支払いは軽くなるでしょう。一方で、その差額は国民みんなのお金でまかなわれています。

 イギリスは、医療の費用対効果(=コスパと考えてください)を世界一研究し、先進国の中ではもっとも厳しく政策に取り入れている国です。そんな国が、日本では当然のように使われている抗がん剤を「効果のわりに、値段が高すぎる」という理由で使ってはいけないという勧告を出しました。しかし、これに怒った市民団体からの反発を受け、現在は別の抗がん剤基金を作ってそちらからお金を出すという迷走をしています。高い薬について、国全体の支出という意味で考えることは、決して私たち一人ひとりにとって人ごとではないのです。