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 こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。今回は、先日、無罪判決が出て、その後すぐに検察が控訴した「乳腺外科医わいせつ事件」を取り上げたいと思います。医学界全体が注目していたこの事件、ぜひ日経ビジネス電子版の読者の皆様にも事の顛末(てんまつ)をシェアさせていただきたく存じます。

 さて、その前に近況を。私は現在外科医稼業を一時停止し、京都大学の大学院で学んでおります。とはいえ大学院の講義は終わり、詰め込んだので卒業に必要な単位は取り切ってしまいました。2年間の在学期間ですが、あとは遠隔での研究指導を仰ぐ形になります。

京都の梅が思い出させてくれた浪人時代

 ですのでこの4月からは福島県郡山市に戻り、また一介の外科医になります。京都にいるのもあと数週間……そんな中、京都の街を散策してきました。

 とはいえ結構あちこち行ったよな、そう思いつつ私、完全にど本命に行くのを忘れておりました。そう、「比叡山」です。いかんいかんと、出町柳(でまちやなぎ)駅から叡山電車に乗ります。がたんごとん、北へ向かい降りた駅は「八瀬比叡山口」。さ、比叡山のケーブルカ―に乗ろうと意気揚々と乗り場に向かうと……。

 なんと、「3月中旬まで冬期運休」との張り紙が。そうか、比叡山には冬は行けないのか。私はガッカリして、また叡山電車に乗り込むと来た道を戻りました。後で知ったのですが、このケーブルカーが運休なだけで、どうやら車などでは行けるそうです。嗚呼、ちゃんと下調べすれば良かった!

 せっかくの休日ですし、私は仕方なく「北野天満宮で梅見」へとプランを変更し、早速バスに乗り込みました。京の都を横断すること約25分、北野天満宮に到着です。ここは梅の名所として知られているのですね。行ったのは2月でしたが、白梅も紅梅も咲いていました。寒い中咲くこの健気さが、なんとも言えません。

冷たい空気の中で、うれしそうに咲いていました

 20年前の浪人時代、自室の机に、「耐雪梅花麗」(雪に耐えて梅花麗し)と書いて自分を鼓舞していたのを思い出しました。2浪目に入り、高校時代の友人はもう大学2年生で我が青春とばかりに謳歌し、1浪目の友人もみな大学生でした。雪に耐えよ、雪に耐えよ、ひたすら自分にそう言い聞かせておりました。20年はあっという間ですね。

 長くなりました。本題に入ります。

 「乳腺外科医わいせつ事件」ですが、これは2016年にとある乳腺外科医が手術直後の患者の胸を舐めるなどしたと疑われたものです。最終的にはつい先日無罪判決が出て、検察側は控訴しました。

 判決文などによると、事件は、ある女性患者さんが乳腺腫瘤の切除の手術を受けた直後に起きたといいます。手術が終わり、麻酔が醒めて病室に戻ってからすぐに起きたと疑われていました。

 本件のポイントは2つです。

1. 「術後せん妄による幻覚の可能性」
2. 「患者さんの乳房から被告のDNAに一致したものが検出」

 順に解説しましょう。