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飲酒と喫煙をする人は注意が必要?

 続いて、どういう人が舌癌になりやすいか。結論から言えば、「飲酒」と「喫煙」が危険因子です。「口腔癌の主な危険因子としては喫煙と飲酒が挙げられている」(前出のガイドラインより)とあります。

 しかしこの議論は、そもそも発生頻度が低い舌癌なので、「長生きしたい!」や「健康でいたい!」という目標を達成するにはあまりインパクトがありません。例えは悪いのですが、まるで、「ある日いきなり電柱が倒れてきてたまたま頭を打って死ぬのが嫌なので、ヘルメットをつけて過ごしています」と言っているようなもの。

 私を含む人間はみな、いろいろなシーンで自分が死亡するリスクを避け、あるいは減らそうとして生きています。車に乗るときにはシートベルトで死亡リスクを減らし、海外旅行へ行っても治安の悪いところへは犯罪遭遇リスクを減らすために近づきません。これは、そのリスクが「起きる可能性が高いから」もしくは「起きる可能性は低いが、いったん起きてしまったらかなりその影響が大きくなるから」回避しようとするのです。

 話が逸れましたが、結局のところ舌癌に対する有効な予防法はあまりありません。知人の口腔外科医に聞きました。すると、

「同じ場所の口内炎が1週間以上治らない場合や、口内炎に一致して硬いものが触れる場合は口腔外科か耳鼻咽喉科を受診することが大切」だそうです。口内炎すべてで受診の必要はありませんが、このあたりは医者としても線引きが難しいところです。

知ってた? 禁煙外来は保険診療です

 そして、とにかくタバコはやめること。やめるためには、病院の禁煙外来を利用するのが一番ですよ。なんと言ったって通常の7割引の値段で、禁煙のための薬やプロによるガイドが受けられるのですから。禁煙治療が保険診療になるのにはかつて議論があったものの、現在は保険診療ですのでぜひ受けてください。これは私の主観ですが、タバコを吸っている人は、「毎日1回は目をつぶって赤信号を渡るようにしています、癖になっちゃって」と言っているように見えます。そういう人に「長生きしたいのですが」と言われても、「じゃあまず食事を改善しましょう!」とはなりません。「まずその赤信号を渡る癖をやめましょうよ」となりますよね。それくらい健康リスクがあるように感じられるのです。

 先日、アベマTVの番組に出させていただいたときにメイクの方と癌の話になり、「タバコはやめられないけれど、癌にはどうしてもなりたくない」、と言われました。そして「他にどうすれば?」と聞かれたのですが、いや、禁煙がすべての第一歩ですよ、とお伝えしました。何十年後かに、「昔はタバコという有毒なものを公然と売っていて、それで年間何万人も健康を害していた」と医学部で笑い話のように教授されるでしょう。ほら、昔は覚醒剤ヒロポン(メタンフェタミン)が薬局で売られていたように。

 喫煙者が全員癌になるわけではありません。が、タバコを吸わない、あるいはやめることで癌にかかる危険性は減るのです。これは疑いようのない事実です。

 といったところで、堀ちえみさんの回復を祈りつつ、今回は終わりにしたいと思います。次回またお会いしましょう。