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現役医師は「2000時間」に違和感を抱かない

 さらに、病院勤務医には当直という業務があります。これは、一晩中救急外来で救急の患者さんを診察するというもの。私の勤める病院は病院側の配慮があってシステムが良いため、月1回だけで済んでいますが、そんな病院はほとんどなく、多くの医師は週1回以上の当直をやっています。当直の日は、朝から上述の仕事をし、17時から当直に突入して救急外来で働き、翌朝になると帰宅はせずシャワーだけ浴びてまた同じ上述の1日を過ごします。私は体力があまりないので、2日目の帰りのドライブが非常に恐ろしく、ちょっとの信号待ちだと寝てしまいます。意識が飛び飛びで、なんだかコマ数のエラく少ない昔の映画を見ているようです。事故防止のため、冬でも窓を全開にしてびゅうびゅう風を受けて運転をするのです。

 私はこういった勤務をしているので、年2000時間はそれほど違和感を覚えませんでした。そんなもんだろうな、と。この数字は月にすると167時間、週にすると38時間で、仮に土日を完全オフとすると月曜~金曜は朝7時~夜22時36分の勤務になります。ま、土日は必ず患者さんを診に病院に行きますので、その分を減らして夜20時くらいまで、とするとそれくらいは働いているな、と思いました。

うれしいニュース、インターバル制度

 ここまで現状をお伝えしてきました。読むだけで疲れてしまった方もいるかもしれませんが、医者に限らずどこの業界でもバリバリやっている方はこれくらい働いているだろうと思います。

 しかし、この検討会ではうれしいニュースもありました。それは、「勤務と勤務の間のインターバル導入」です。説明しますと、①普段の勤務では次の勤務まで9時間のインターバルを入れること、②当直の次の日(我々医者は当直明けと呼びます)はお昼までの勤務にして、その日は帰らせること、が提案されたのです。これは非常に大きなことです。

 ①では、例えば22時まで働いたら翌朝は7時まで勤務を開始してはいけない、となります。9時間もあれば家に帰り、ご飯も食べてしっかり眠ることができますね。

 ②では、なんと連続勤務が24時間プラス午前中くらいで済むということになります。午前だけ勤務して、午後は帰宅し翌朝までグースカ。これまた夢のようですね。当直明けはナチュラルハイですから、思わず昼から飲みに行って気分転換をする外科医が続出しそうです。医者の死亡リスクが減りそうで、いいニュースでした。

 このようなうれしいニュースがあり、数mmは医師の労働状態が改善しそうな気配であります。