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過労死ラインを優に超える実態

 読者の皆様は、「医者ってなんとなく忙しそう」とイメージされる方が多いでしょうか。まずは、「医者は本当に忙しいのか?」に答える必要がありそうです。まずはデータから。

 厚生労働省の調査「平成30年版過労死等防止対策白書」によると、時間外労働が月80時間を超える医師のいる病院は全体の20.4%に達していました。

 月80時間は過労死ラインですので、いかに多いかが分かります。
また、前述の検討会で使用された資料によると、「(時間外労働が)年間1920時間を超える医師が約1割、年間2880時間を超える医師も約2%存在している」のだそうです。

 ちょっと時間の長さがピンときませんが、労働基準法第36条に基づく協定では、

  1. 平日の時間外労働について、月45時間・年360時間が限度であり
  2. 臨時的な必要がある場合には、年に6カ月に限って、①を超えることができるが、その場合においても、休日労働込みで月100時間未満、かつ、平日の時間外労働の時間数が、年720時間となるまで、とされている。
  3. また、協定時間の如何にかかわらず、休日労働込みの時間外労働は、月100時間未満、かつ、複数月平均80時間以内である必要がある。

(検討会の同じ資料より)

 ですので、いかに医師の労働時間が長いかがお分かりいただけるかと思います。今回提案された「時間外労働は年の上限2000時間」は、この36協定のおよそ倍と考えていただけければいいでしょう。

忙しさは科や病院によって違う?

 そして次は現場の視点です。わたくしも勤務医の一人ですので。医者は確かに忙しいのですが、これには2種類の忙しさがあります。勤務時間中に息をつく暇がないほど忙しいことと、そもそも勤務時間が異常に長いということですね。

 前者は、科や病院によるかと思います。コーヒーを飲みながらゆったりと診療している科や、医局で居眠りばかりしている科がある一方で、トイレに行く暇もなく戦場のように働き続ける科が存在します。詳述することは立場上、非常に難しいのですが、一般に「命に関わる病気」を扱う内科・外科はより多忙な傾向にあります。

 外科医である私の話をいたしましょう。これは病院勤務医の、まあまあ忙しい日の一例です。朝7時に病院に到着し、電子カルテで情報を集め、7時半から入院患者さんを回診し、8時半から会議か検査、9時から手術で12時に終了。昼ご飯を20分間でかっこみ、12時30分から2件目の手術をし16時に終了。そのまま病棟で患者さんとご家族にお話45分を2組、17時から委員会、18時から外科内科合同会議。19時に終了し、それから研究会議で20時終了なんて具合です。これに緊急手術が入ってくるため、まあ結構バタバタしています。