
韓国に対する輸出管理措置が解除に向けて大きく動いた。3月6日、韓国政府がいわゆる元徴用工訴訟の問題を巡り解決策を発表した。その日に、経済産業省は輸出管理問題に関する発表を行った。しかしながらその発表文は、あぜんとするものだった。
韓国の言い分を飲んだ発表文
まずその発表文を見てみよう。
「日韓両国政府は、輸出管理に関する日韓間の懸案事項について、双方が2019年7月以前の状態に戻すべく、関連の二国間の協議を速やかに行っていくこととしました。このため、日韓間の輸出管理政策対話を近く開催することとしました。なお、韓国政府は、関連協議が行われる間、WTO(世界貿易機関)紛争解決手続きを中断することにしました」
驚いたのは「2019年7月以前の状態に戻すべく」、日韓間で「協議」するとしたことだ。これはこれまでの韓国の主張そのものだ。これまで日本政府はあくまで輸出管理当局同士で「対話」をするとしていた。交渉を前提にするような「協議」ではない、と言ってきたのだ。
一体どうしたことか。駄々をこねられて、こちらの筋を曲げる。こうしたこれまでの韓国との異常な関係を繰り返さないとの固い決意はどこへ行ったのか。
西村康稔経産相も軌道修正せざるを得なかったようだ。早速、7日の記者会見でこう発言した。
「輸出管理の見直しは、他国と協議を行うという対象ではない。政策対話を行うことで韓国側の審査体制・輸出管理の実効性をしっかりと見極めていき、日本として判断をしていく」
これまでの日本の主張を踏襲した発言だ。しかし取材する記者からは「もしもそうならば、なぜ発表文にそう書かないのか」との厳しい声も聞こえてくる。国内向けに強弁しても、問題は韓国との関係だ。韓国にとっては「いただき」となりかねない発表文を危惧するのは私だけではないだろう。
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