(写真=AP/アフロ)
(写真=AP/アフロ)

 中国共産党大会が閉幕して、習近平総書記の異例の3期目が発足した。共産党大会での習氏による活動報告は、ここ数年展開している習政権の大方針を明確に示したものだった。経済のキーワードは「双循環」と「国家安全」だ。

習3期目も中核技術の入手にまい進

 「双循環」とは、米中対立の長期化を見据えて、重要産業を戦略的に国産化する「国内循環」と経済の相互依存を武器に使う「国際循環」の2つだ。さらに「国家安全」を掲げて重要産業のサプライチェーンの「自立自強」を強調している。

 注目すべきは「基幹的な核心技術の争奪戦に勝利する」としていることだ。これは、中国企業が中核技術を持っていないことが重要産業の国産化のネックになっていることへの危機感の表れだ。

 問題はその手段だ。前稿「狙いは複合機や医療機器の中核技術 中国の手口にG7も懸念」で指摘したように、ネックになる中核技術を早急に外資企業から入手しようとしていることに警戒しなければならない。

 まず中国企業にない技術を有する外資企業に、中国企業との合弁で中国国内で生産させる。そして次の段階は中国企業による中国ブランドだけを“国産”とするルールにして、パートナーの中国企業に技術が渡るような仕組みにしていく。こうしたパターンで重要産業をターゲットに次々と同様の手法を展開しているのだ。

“脇の甘さ”露呈した複合機メーカー

 複合機については、最近、政府調達だけでなく「国家標準」まで持ち出して、中国国内での設計・開発・生産を要求する動きになった。これが日本でも報道されて問題が顕在化したわけだが、問題は日本企業の反応だ。

 驚くことに、中には「むしろ事を荒立てないでほしい」と漏らす企業もあった。これは「騒がなければ自社だけは悪いようにはされない」と、中国から水面下で揺さぶられていることが背景にあるようだ。これまでも他業界に対して繰り返されてきた中国の常とう手段なのだが、真に受けているのが実態だ。

 7月、富士フイルム系企業は中国にある複合機を生産する現地企業を中国企業に売却すると発表した。

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