9月15日、主要7カ国(G7)貿易相会合は共同声明で、中国による「強制的な技術移転」に対してG7が協力して対抗する姿勢を示した。中国はこれまでとは異なる新たな手段も繰り出して、外国企業に技術移転を迫っているからだ。
複合機、医療機器については今年7月の拙稿「複合機、医療機器…中国国産化で日本企業に深刻な技術流出リスク」で日本企業に警鐘を鳴らした。欧米もこうした懸念を共有して、協力して対処することになったのは重要だ。
一言で言うと中国の動きはこうだ。
複合機については政府調達で中国生産に追い込むだけでなく、中核部品も含めて設計・開発から生産まで全工程を中国国内で行うことを求める「国家標準」を作ろうとしている。国家標準にすれば約3割といわれる政府調達市場以外の民間市場にも影響力を行使できるからだ。

医療機器については中国市場の7~8割が病院などの「政府調達」の対象なので、これを国産品に限るとともに、外国企業には設計開発や重要部品の調達を中国国内で行うよう求めている。
こうした中国の動きについて、メディアで取り上げることは重要だ。ただしそこに誤解や本質からのズレがあってはならない。いくつか気になる点を指摘して、今後、G7など欧米とも連携を取るうえで、日本の役割を考えてみよう。
本質は「外資排除」ではなく「技術入手」
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り3144文字 / 全文3737文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「細川昌彦の「深層・世界のパワーゲーム」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?