先週は日米首脳会談、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の発足、日米豪印4カ国の枠組み(Quad、クアッド)の首脳会合という一連の大きな動きがあった。これらをバラバラに論じていては、大きな国際経済秩序の潮流を見逃すことになる。全体を俯瞰(ふかん)して見る目が必要だ。今後の見通しも含めて見てみよう。

重層的な経済安保の枠組み
まず、掲げる“旗印”がこれまでの「貿易の自由化」から「経済安全保障」へとシフトしている。これは米中対立による分断という地政学的な状況を背景としている。そしてさらに「重層的な全体像」が浮かび上がる。
日米間においては閣僚レベルでの経済版「2プラス2」、日米にオーストラリア、インドを加えた4か国によるクアッド、さらにそこに韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)を加えたIPEFだ。確かに参加国は同心円状に広がって重層的だ。
しかし誤解してはならない。中身は決して同質のものを拡大しているわけではない。経済安全保障の内容は多様で、それぞれ経済安全保障のメニューを「中国への対抗」色の濃淡で使い分けているのだ。
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