米政権の環境ご都合主義が招いた危機
そもそも米国産のシェール・オイル、シェール・ガスを増産すれば、現在のエネルギー危機の状況が大きく改善するのは明らかだ。しかし党内の環境派によってバイデン政権はがんじがらめになって身動きできないでいた。こうした身勝手なご都合主義で、他国に同調を求められるわけがない。
また、今日のドイツの状況を招いた責任はバイデン政権にもある。2019年、ロシアからドイツに天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム2」の建設に関与している企業に制裁を課す超党派で可決した法案に、トランプ前大統領は署名した。その際、このパイプラインは 「将来ドイツをロシアの人質にしてしまう」と指摘したのだ。
しかし昨年5月、バイデン政権はエネルギー不足に直面するドイツの要請で制裁措置を止めてしまった。
米国内では、バイデン政権のエネルギー政策がロシアのウクライナ侵攻を招いたとの批判が噴出している。脱炭素を理由に国内の石油・ガス産業の投資が急減し、国際的なエネルギー価格を高騰させたことで、エネルギー輸出に依存するロシアを利することになったからだ。
サハリン2、日本企業は撤退すべきではない
米国のご都合主義を考えると、日本は国際協調を踏まえつつも、冷静に自国のエネルギー安全保障について判断することが必要だ。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1499文字 / 全文3184文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「細川昌彦の「深層・世界のパワーゲーム」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?