9月16日の中国に続いて、台湾が22日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。これらのTPP加盟申請に直面して、慌てているのが韓国だ。東アジアの経済圏で唯一取り残されることになるからだ。焦った韓国も加盟申請に動き出すのは必至だ。

台湾の思惑

 台湾の動きが予想以上に早かったのは危機感の表れだ。私は9月20日の前稿「中国、TPP加盟カードで米国と日本の新政権を揺さぶる」でこう指摘した。

 「中国がタイミングを急いだ理由には、台湾ファクターがある。台湾もTPP加盟に向け積極的に動いている。これを阻止すべくTPP加盟国に圧力をかけつつ、自らこれに先行して加盟申請する政治外交的側面もある」

 「台湾の早期の加盟申請は中国からの圧力は当然あるだろうが、重要だ」

 台湾は記者会見でも「もし中国が先にTPPに加盟してしまえば、台湾のTPP参加は不利になることが予想された」と、それを裏付ける発言をしている。昨年署名された東アジア地域包括的連携協定(RCEP)への参加は中国によって阻まれた苦い経験もしている。このままではアジアの経済圏で孤立しかねないとの危機感があった。

台湾の蔡英文総裁。日本はTPP加盟について台湾と水面下でコンタクトしていた(写真:ロイター/アフロ)
台湾の蔡英文総裁。日本はTPP加盟について台湾と水面下でコンタクトしていた(写真:ロイター/アフロ)

 台湾が即座に申請できたのは、すでに申請の準備をしていたからだ。加盟申請の扱いを決定するのは閣僚級会合のTPP委員会だ。実は加盟を早くから希望していた台湾は今年の議長国である日本とコンタクトして日本のサポートに期待を寄せていた。

 これに対して、実は日本は中国を刺激することを懸念して慎重姿勢だったようだ。日本の戦略は米国のTPP復帰を最優先としている。ところが中国が先に加盟すれば米国の復帰を阻止するだろう。米国のTPP復帰が見込めないうちに中国に加盟申請されるのはできれば避けたい。台湾の加盟申請はそうした中国を刺激してしまう。

 そのため台湾は加盟申請を懐に温めながら、加盟各国と静かに非公式の協議を水面下で続けていた。しかし結果的に、この目算は狂った。中国が加盟申請してしまったからには、刺激を避ける意味はもはやない。台湾は中国と「ほぼ同時期の申請」として扱われるよう即座に動いた。茂木敏充外相が“あうんの呼吸”で台湾の加盟申請を「歓迎」と応じたのはそうした背景からだ。

続きを読む 2/3 中国は “要観察”扱いに

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