日本企業も他人事では済まされない

 さらにもう一つの深刻な問題は企業の行動も問われようとしていることだ。米国は強制労働で作られた製品の排除を目指した通商政策を考えている。欧州も企業に人権問題を厳しくチェックすることを義務付けようとしている。

 米欧が共鳴する中で、日本企業も他人事では済まされない。他方でこうした動きに危機感を抱いた中国は反発して、企業に対して不買運動などでけん制している。日本企業にとってまさに「前門の虎、後門の狼(おおかみ)」の状況だ。

 中国は早速、「強烈な不満と断固反対を表明する」との談話を出して反発した。台湾問題も香港・新疆ウイグル自治区の人権問題も中国にとって核心的利益としているので、ある意味当然だろう。しかし中国の反発は織り込み済みだ。3月の2プラス2の共同文書に盛り込んだ段階で、中国の反発の瀬踏みはされている。むしろ、今の中国に対しては反発がないような共同声明では意味がない。

 今後、中国は日本に対して、硬軟織り交ぜて揺さぶりをかけてくるだろう。中国からは日本は揺さぶりやすい相手と見られていても仕方がない。中国ビジネスを人質にとられた産業界や親中派の政治家への働きかけも強まろう。逆にいくつか見せしめ的にターゲットとされる企業が出てくる可能性さえある。

 そうした揺さぶりに腰が定まった対応ができるかどうかだ。ここまで対中姿勢を鮮明にさせられたことがなかっただけに、これから菅政権は正念場を迎えことになる。

追記:前稿の追記でこう指摘した

 「日米首脳会談が直前になって1週間延期という異例の事態となった。表向きは「コロナ対応など準備に万全を期するため」と日本政府は説明するが、額面通りに受け取る者はいない。(中略)ワシントンの事情通の間では、ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)の外遊日程との関係がささやかれている。米国主催の気候変動問題サミットの根回しに奔走しているケリー特使の訪中説も浮上している」

 これも推測通りだった。恐らく共同声明に対する中国の反発が当然予想されるので、ケリー特使の訪中前に共同声明が出ることを避けるように米側でスケジュール調整された結果だろう。

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