日本政府の対処は重要な試金石

 米国政府が注目するのは楽天だけではない。日本政府がどう対処するかにも注目している。

 外為法を改正した当時、日本政府は「これで米国と実質的に遜色ない投資規制になった」と胸を張っていた。それがこの件で規制の実態が明らかになる。日本の規制が“看板どおり”かを見る格好のケースだ。

 米国では中国を「特別懸念国」として、中国からの投資は特に慎重に審査している。それに対して、日本は、中国でも「民間企業」であれば、その他の国と横並びで10%以下の出資は事前届け出を免除してしまう。中国に対する対応が甘いと見られかねない。

 ワシントンの中には、「菅政権が中国に対して融和的ではないか」との懐疑的な見方もある。4月に初となる対面での日米首脳会談を控えて、こうした疑念を払拭する対処が必要だろう。

 率直に言って、総務省の「安全保障のアンテナ」には不安がよぎる。2018年5月、野田総務大臣(当時)は中国から5G協力を提案され、いったんは前向きな姿勢を示して、米国は驚いたのだ(その後、秋になって日本政府は方針転換した)。この時点で米国政府と議会は既に中国の5Gに対する懸念に厳しく対処すべく動いていた。

 20年4月、経済安全保障の司令塔が必要だとして、官邸の国家安全保障局(NSS)に「経済班」が発足した。まさにこの「経済班」の力量が問われている。

 国会では総務省の接待問題が連日繰り広げられている。もちろんこうした問題が重要でないと言うつもりはない。しかしその総務省の足元で、国の安全の根幹にかかわる事態が進行していることにもっと目を向けるべきだろう。

 米中分断が進行する中で、日本企業、日本政府の中国との向き合い方が問われている。

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