バイデン政権の外交政策はどうなるのか。対中政策と並んで日本への影響が大きいのが、「同盟国との連携」という方針だ。単独行動主義だったトランプ前政権とは異なる方向性となる。日本にはこれを歓迎する声も聞かれるが、事態はそう単純ではない。前回に引き続き、外交・通商問題に詳しい細川昌彦氏(明星大学経営学部教授)に話を聞く。(聞き手=大竹剛)

バイデン政権の「同盟国との連携強化」は日本にとって要注意?(写真:ロイター/アフロ)

前回は、バイデン政権の主要メンバーの顔ぶれから、対中政策について分析しました。特に、超大物で対中融和派の元国務長官、ジョン・ケリー氏が気候変動問題担当の大統領特使に就いたことで、気候変動問題が世界のパワーゲームの主戦場に浮上するという話でした。この変化は、日本にどのような影響を及ぼしますか。

細川昌彦氏(以下、細川氏):私は以前から、「日中関係は米中関係の従属変数」と指摘してきました(参考記事:中国と米国の「一方的制裁」の応酬という悪夢、2017年12月19日)。そして今では同様の指摘を多くの方もしています。トランプ政権時代は米中が激しく対立したことで、中国は日本に融和的な姿勢を示してきました。しかし、バイデン政権が中国に対して融和的な姿勢を示すと、中国は米国と直接的に取引しようとし、日本の重要度は下がります。

 また欧州連合(EU)も気候変動問題を軸に、技術管理や人権の問題などで協調していこうと米国に秋波を送っています。トランプ政権時代にEUは米国と対立しました。バイデン政権になったことで、EUは米国との関係修復のチャンスを狙って、昨年12月には、「新米欧アジェンダ(略称)」と題したボールを投げています。

 米・中・EUが気候変動問題で相互に合従連衡していく可能性があり、その中で日本はこうしたゲームのプレーヤーになれるのか極めて重要な局面にあると思います。昨年10月に菅首相が2050年にカーボンニュートラルを達成すると宣言し、年末に「グリーン成長戦略」を発表した背景には、こうした世界のパワーゲームがあるのです。交渉の武器を持たなければ、日本は存在感を何も発揮できなくなりますから。

競争/対立分野の代表である技術覇権や人権の問題については、どのような動きに注目しておく必要がありますか。

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