オール・ワシントン以外の「対中政策」は?

 まず中国との向き合い方が最大のテーマであることは衆目の一致するところだ。「バイデン政権になっても対中強硬は続く」と一般的には言われている。しかし事はそう単純ではない。

 トランプ政権下での対中政策を見る際、トランプ大統領と、議会を中心とした「オール・ワシントン」を分けて見るべきだ、と指摘してきた(拙稿「トランプ氏“ファーウェイ発言”の裏にワシントンの暗闘」)。トランプ大統領自身は選挙対策としていかに取引で中国から“戦利品”を取ってきて誇示するかが最大の関心事だった。貿易問題で高関税を脅しに農産物の大量買い付けの約束を取り付けた、今年1月の貿易合意がそうだ。そして対中強硬策が再選に有利と判断して、その後もポンペオ国務長官らが中国に対して先鋭的な発言を繰り出していた。

 それに対して、超党派の議会においては技術覇権、さらには人権侵害などを巡って対中警戒感は根深い。遡ればオバマ政権の2010年ごろから議会の報告書が出されるなど、こうした警戒感は始まっている。2018年からは2019年国防権限法、2020年国防権限法、香港人権・民主主義法など中国に対する厳しい法案が次々と成立している。ファーウェイへの制裁強化もこの一環だ。こうしたオール・ワシントンの対中強硬政策は中国の覇権的な姿勢が大きく変わらない限り不変だろう。

 そのうえで、バイデン氏は「同盟国との連携」を打ち出していることにも注目すべきだ。これまで米国は中国に対して輸出管理などを武器に独自に制裁を強化してきたが、今後は日本など同盟国にも同調を求めてくるだろう。日本は中国に対する輸出管理で、どのように共同歩調をとって行くかが焦点になる。

 これは半導体関連をはじめとして日本企業のビジネスにも大きく影響する問題だ。その際、欧州の“抜け駆け”がないよう、欧州も含めた“有志国での仕組み”にするべきだろう。

 この点については別の機会に詳述することにしたい。

 他方で、トランプ大統領に代わって不確定要因になるのがバイデン政権幹部だ。既に民主党の中では左派と中道の間での激しい猟官運動が繰り広げられている。対中政策も誰が国務長官、大統領補佐官になるかによって大きく左右される。さらに司法長官によって中国によるスパイ活動の摘発といった執行面での力の入れようも変わってくる。

 オバマ政権の対中融和政策は失敗だったと大方の外交ブレーンが見る中で、その象徴的存在だったスーザン・ライス元安全保障担当補佐官の処遇も焦点だ。バイデン家の中国ビジネスとの関わりも取り沙汰されているだけにバイデン氏自身は融和的には動きづらいだろう。

 むしろもっと不安視されるのは、女性初の副大統領になるカマラ・ハリス氏だ。中国系米国人によって与えられたと言われている中国名(HeJinli)を、中国系コミュニティーの中では名乗っていたという。対中政策についてはトランプ政権の批判はするが、自らの考えはあまり明確にしていない。後述の彼女の発言とともに、これらをどう見るか、だ。

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