新型コロナで問われる、知事の力量

 改正特措法に関して、「自治体に丸投げ」と政府を批判して、あたかも自治体が被害者であるかのような報道もある。しかし、感染拡大を抑制するには状況に応じた自治体ごとの対応が不可欠であり、むしろ自治体の力量こそ問われて当然であることを忘れてはならない。こうした有事の際に、“中央に右へならえ”しかできない知事に地方分権を語る資格はない。

 これまで地方分権を求めてきた知事たちこそ、こうした有事に力量を発揮すべきだ。そして県民は、他県と比較して自分の自治体のパフォーマンスの良しあしを厳しい目でチェックすべきだ。

 そしてもう1つ、知事の力量で問われるのは意思決定のあり方だ。

 安倍晋三首相が学校の一斉休校を突然要請した際には、独断での決定だとして、その意思決定のプロセスを問題にされた。有事におけるリーダーの意思決定のあり方は、政府だけの問題ではない。都道府県における知事の意思決定のあり方もポイントとなる。

 こうした危機管理におけるリーダーの意思決定で思い出されるのが、かつてのキューバ危機におけるケネディ元米大統領によるホワイトハウスでの意思決定だ。前年のピッグス湾事件では米中央情報局(CIA)の情報だけに左右されて意思決定して失敗した。その経験を踏まえて、あえて批判・反論の役割を担う者を入れるなど意思決定プロセスを見直した。この13日間のプロセスは映画「13デイズ」で有名だ。

 意思決定はその内容もさることながら、内容を左右するプロセスのあり方もリーダーの力量である。

 新型コロナ対応では、このように各知事たちの真価が問われている。

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