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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の改正案が成立し、3月14日に施行された。

 国会審議の焦点は「首相による緊急事態宣言」であった。宣言を出すにあたっては専門家による諮問委員会に諮ることになっているが、さらに付帯決議で国会への事前報告が求められた。私権を制限することに慎重であるべきであるとの意図は理解できる。

 しかし、もっと着目すべきは、緊急事態宣言を受けて、都道府県知事がどのように具体的な措置を講じるかだ。知事が意思決定するプロセスと内容こそ焦点だろう。

(写真:ZUMA Press/アフロ)

有事で見えるリーダーの優劣

 北海道知事は、国に先駆けて法的根拠もないまま学校の一斉休校や外出自粛の要請を出している。そうした責任を負う覚悟での決断に対して多くの人が評価する。改正法によって、こうした措置に法的な根拠を与えて、イベント自粛などで事業者などに損害が生じた場合の訴訟リスクを避けることになるのは意義あることだ。そのうえで重要となるのは、知事の危機管理能力が問われるということだ。

 これまでの新型コロナに対する各都道府県知事の対応を見ても、それが如実に表れている。

 民間病院で感染者が発生した和歌山県は、国のPCR検査基準にこだわらず、徹底的に追跡調査を行うことによって病院の早期再開にこぎつけた。また、大阪府は感染者の追跡調査を優先してクラスター(集団)感染の発生場所となった店名の公表にあえて踏み切った。これに対してプライバシーを気にして店名の公表をちゅうちょしている自治体もある。

 さらに大阪府は武漢やイタリアのような医療崩壊を避けるために、感染者の症状やリスクに応じて、適した病床に振り分ける司令塔の組織を立ち上げることにした。そして重症者が十分な治療を受けられるように、「軽症者は指定医療機関への入院ではなく自宅待機にする」といった独自の基準を設ける予定だ。他方で、国の基準通り軽症者も指定医療機関に入院させ続けた結果、病床数が足りなくなる瀬戸際の自治体もある。

 首相の一斉休校要請にもかかわらず、感染者がゼロの状況を踏まえて独自の判断として学校を再開した自治体もある。19日にも出される予定の国の方針に先駆けて、大阪府知事は「感染の拡大を抑える条件が分かってきて、社会経済活動を徐々に元に戻す時期に入った」と判断し、学校の再開と一定条件下でのイベントの再開の方針を決めた。

 こうした横並びではない判断には、責任が伴い勇気がいる。その結果、万が一感染拡大になった時には責めを負う相当の覚悟が必要だ。他方で、自らは責任ある独自の対処をせずに、政府批判だけをしている知事もいる。

 まさに平時と違う不確実性が高い有事のときこそ、リーダーの意思決定の巧拙が見えてくるのだ。