日本企業も要注意、米国主導の“新型の対中ココム”

 米国は中国への技術流出を阻止すべく輸出管理の抜本的な強化をしようとしている。輸出管理改革法(ECRA)に基づき、中国を念頭に置いて規制対象範囲を拡大しようとしている。いわば“新型の対中ココム”ともいえるものだ(政府は対外的にこうした呼称を用いることを当然否定するだろうが)。そのうちの1つが、上述の「基盤技術」といわれるもので、半導体製造技術がその焦点になっている。

 それと同時に、米国だけが独自に規制しても効果が限定されるため、同盟国との国際連携が必要とされている。日本にも同調が求められるのは明らかだ。そうなると日本企業の企業活動も多大の影響を受けることになる。

 また、事実上の禁輸措置につながるエンティティ―・リストへの掲載が相次いでいる。この1年半の間だけでも有名なファーウェイ以外に監視カメラ、スーパーコンピューター、原発関連企業など200社近くがリストに追加されている。こうした企業にも米国は半導体を含む部材供給をストップする。

「買わない」、「使わない」から「売らない」、「造らせない」までに及んでいるのだ。

日本企業も“利敵行為”は許されない

 ここで注意しなければならないのは、日本企業であってもこのエンティティー・リストへの掲載は決して無縁ではないということだ。日本から中国へ輸出する場合であっても米国からの部材などを25%以上組み込んだ場合に、米国の再輸出規制がかかることは大方の日本企業は理解しているが、問題はそれだけではない。

 仮に「米中対立はビジネスチャンスだ」として「漁夫の利」を得ようとすれば、違法行為でなくても、米国からは利敵行為とみなされて制裁対象にもなり得るのだ。

 日本企業は最低限、法律的なチェックはしているだろうが、それだけでは十分ではない。エンティティー・リスト掲載企業との取引は慎重にすべきであることを経営層は理解しておく必要がある。

 米中両国とビジネスで付き合う日本企業にとって、機微な分野の見極めが重要になってくる。AI(人工知能)、量子技術、5G、ドローン、監視カメラのような特定分野については、米国の動きを踏まえた慎重な対応が必要だ。虎の尾を踏むわけにはいかないのは、1987年の東芝機械ココム違反事件を思い出せば明らかである。

 日本企業もこうした安全保障の動きへのアンテナを高くしておかなければ、経営の根幹を揺るがしかねない。半導体関連はそうした機微な分野として特に要注意であることを、新型肺炎を巡る動きで思い起こさせられた。

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