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中国で新型ウイルス肺炎拡大 在留邦人が武漢から帰国(写真:AFP/アフロ)

 中国の新型肺炎の感染が拡大して、経済への深刻な影響が懸念されている。とりわけ発生源である中国・武漢市は自動車産業の一大集積地で、自動車業界のサプライチェーン(部品供給網)への大きな影響にメディアの関心も注がれている。中国での自動車生産への部品供給や中国からの自動車部品の輸入など、世界の自動車生産体制への広範な影響が懸念されるのは当然のことだ。

 しかし、もう一つ忘れてはならないのが半導体産業だ。

 半導体産業は「中国製造2025」の最重点産業で、2025年までに自給率7割を目標としている。武漢はその中核拠点と位置付けられ、海外技術を基に巨大工場の建設を進めている。台湾から大量の技術者を引き抜くなどして、中国半導体大手の紫光集団は中国メーカーとしては初めて3次元NAND型フラッシュメモリーの量産に乗り出した。

 「中国製造2025」は単なる産業政策ではない。目的に「軍民融合」を掲げて、産業競争力のみならず軍事力の高度化も目指している。米国が強い懸念を有するゆえんだ。中国も海外からの警戒感を避けるために、最近は爪を隠して、この言葉に言及しない方針である。しかし実態は何ら変わっていない。

 先日、武漢からチャーター便で日本人数百人が帰国した。そのうち約半数は自動車関連の従事者であったが、残りの大半は半導体関連の従事者だった。日本の半導体製造装置メーカーの技術者がそうした工場の建設とメンテナンスに関わっているのだ。もちろん中国市場を開拓するビジネスとして取り組むのは当然である。現時点でこのこと自体が問題になるものではない。

 ただし、今後も同じだと考えていては危険だ。一層の注意を要する。現在、半導体産業がいわゆる“米中テクノ冷戦の主戦場”となっているからだ。