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 3年半ぶりに日韓の輸出管理を巡る対話が再開された。焦点は、日本の韓国に対する輸出管理の厳格化の措置が、今後どうなるかだ。結果は対話の継続だ。今回の対話で日本が重視したポイントは2つ。先般のGSOMIA破棄の回避と輸出管理問題をリンクさせないこと、そして輸出管理問題は「対話」であって「協議」ではない、つまり「交渉にはなじまない」ということだ。双方が最後まで文面でもめた発表文が物語っている。

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(写真:ロイター/アフロ)

 3年半ぶりに日韓の輸出管理を巡る対話が再開された。結果は順当だ。双方ともに「相互理解が進んだ」との一定の進展を示唆し、対話を継続することを確認した。焦点は、日本の韓国に対する輸出管理の厳格化の措置が今後どうなるかだ。

 今回の対話では、日本側にはどうしても押さえておきたい点が2つあった。

 第1は、先般の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)延長問題と輸出管理の問題をリンクさせず、輸出管理の世界だけで完結させること。第2は、輸出管理の運用は各国が自分で判断して決めることで、相手国と交渉するのはなじまないことだ。

 双方が最後まですり合わせに時間がかかった発表文の文面がそれを物語っている。対話が予定より3時間近くも遅れて終わったのは、この文面を巡っての綱引きだろうと容易に想像がつく。7月に課長級で行われた「事務的説明会」では終了後の日韓双方の発表内容の食い違いが大問題になった苦い経験があったからだ。

GSOMIAと輸出管理のリンクに腐心する韓国

 まず「輸出管理の問題は専門家同士の相互理解で解決する」とのメッセージを明確にした。これは裏を返せば、輸出管理の問題は、GSOMIAの延長問題によって左右されないということだ。

 先般、韓国はGSOMIA破棄の方針を回避せざるを得なかったが、その事実上の条件にしようとしたのが、日本の輸出管理の厳格化措置であった。当初、韓国は日本の輸出管理の措置への対抗措置としてGSOMIA破棄のカードを出してきた。そうすれば米国は、GSOMIA破棄を回避するために、韓国だけでなく日本にも働きかけて、輸出管理の措置を撤回させるように迫るだろう考えた。そのためにGSOMIAと輸出管理という2つの問題をリンクさせることに腐心した。

 日本はそれを百も承知で、両問題が別次元で全く無関係であることを説明し続けた。結局、韓国のもくろみは外れ、米国の韓国への圧力で文在寅(ムン・ジェイン)政権は追い込まれ、GSOMIAを続けざるを得なくなった。

 あとは国内からの批判を避けるために、どうメンツを保つかだ。そこで韓国はGSOMIAの失効を回避するという方針転換と同時に、日本にも輸出管理で譲歩させたと国内向けに強弁することが必要となった。