ところが韓国は国内へのメンツから、こうした事実を認めたくない。GSOMIAの失効回避と輸出管理厳格化の対話の再開を意図的にリンクさせることで何とかメンツを保とうとしている。それは韓国の報道を見ても明らかだ。

 韓国側はGSOMIAと関連付けるために、そう見えるようにタイミングを見計らって「WTO提訴プロセスの中断」というカードを切ってきた。日本はそのカードに対して輸出管理当局として上記のような当然の判断をしただけで、何らGSOMIAとは無関係だ。タイミングも含めて必死に関連付けようとしているのはあくまでも韓国なのだ。

韓国のメンツ作戦に乗せられた日本の報道

「GSOMIAはいつでも失効可能との前提付き」

「条件付きのGSOMIA延長」

「日本の輸出管理厳格化の措置の撤回に向けた協議の開始」

 韓国側の発表は、国内的にメンツを保つための強弁の文言のオンパレードだ。

 韓国は国際的な交渉事の後、自分に都合のいいように事実を歪曲(わいきょく)して発表する常習犯である。どこの国も多少はそういう要素はあるが、韓国の場合、臆面もなく大胆で、米韓自由貿易協定(FTA)交渉時に交渉相手の米国もあぜんとしたのは有名な話だ。日本は7月に行われた「事務的説明会」の後でも韓国側発表で苦い経験をしている。

 今回もそうした韓国側の意図的発表を予想して、日本政府も記者会見で明確に2つのポイントを説明している。1つは、GSOMIAの失効回避と輸出管理についての政策対話の再開は無関係であること。そしてもう1つは、あくまでも「対話」であり「協議」ではないことだ。

 すると、韓国は「日本政府の発表は合意内容を意図的に歪曲した」と外交ルートで抗議する念の入れようだ。国内向けにメンツを保てなくなることへの焦りだろう。

 それにもかかわらず、日本の一部のメディアは意図的にGSOMIAの失効と結びつけ、しかも「協議」と報道しているのだ。まるで日本政府の記者会見よりも韓国政府の記者会見を信じているかのようだ。これでは韓国の思うつぼだ。我々は厳しい目で報道を見極める必要がある。

 今後、輸出管理についての対話はどうなるのか。日本の輸出管理厳格化の措置は見直し、撤回されるのだろうか。

 韓国側は案の定、「日本の措置の撤回に向けた協議」と国内向けに宣伝している。そして日本のメディアの一部もそういう印象を与える報道をしている。もちろんこの場で措置撤回の要請をするのは韓国の勝手だ。しかしあくまでボールは韓国にあることを忘れてはならない。

 韓国の輸出管理を審査する人数が極端に少なく審査体制が脆弱であることは申請をする民間企業の間でも衆目の一致するところだとささやかれている。法制度についても他国と比べて不備も指摘されている。輸出管理をきちっと審査する体制を整え、法制度も不備を直すことを確認して、大丈夫だと日本政府が判断できなければ何も事態は動かない。

 そうしたことを見極め、確認する場が「対話」だ。あくまで交渉するわけではない。

 それらを判断材料にして日本が自国の輸出管理の運用の意思決定をする。その結果、韓国の扱いが変わる可能性ももちろんないわけではないのは、他国に対してと同様だ。

 こうした当たり前のことを日本政府も記者会見で繰り返し説明している。メディアもきちっと報道して欲しいものだ。

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