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日米貿易交渉の合意内容は本当に双方にメリットがある「ウィン・ウィン」と言えるのだろうか(写真:AP/アフロ)

 日米貿易交渉の合意内容は本当に双方にメリットがある「ウィン・ウィン」と言えるのだろうか。結果を見ると、米国にとっては思惑通りだろう。

 日本が米国産の牛肉や豚肉、小麦にかけている関税率の引き下げは、トランプ米大統領にとって最も実現したかった分野だ。2020年の大統領選で支持基盤となる中西部の農家にアピールできる。大統領選に間に合うよう妥結を急いだ。大枠合意から3週間で署名というのは、これまでの日米交渉にない異例の速さだ。通常、大筋合意から署名に至るプロセスでは、精緻な協定文に落とし込む作業があるために早くても3カ月はかかる。

米国の“脅し”から設定された交渉目標

 日本が成果として誇るのは、農産物の関税引き下げを環太平洋経済連携協定(TPP)の水準以内にとどめたことと、自動車の制裁関税を回避できたことだ。

 これらが日本の交渉目標になったのは、米国が日本に対して、(1)農産物でTPP以上の要求をする、(2)自動車の制裁関税を検討する、という2つの“脅し”が背景にあってのことだ。

 こうした“脅し”を振りかざして交渉するのが、米国の常とう手段である。その結果、交渉は日本の守り一辺倒になってしまった。これは米国のゲームプラン通りだろう。

 ただし、これらの“脅し”を冷静に見極める必要がある。