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 これに対してフッ化水素についてはほぼ全量個別許可の対象になるが、同様の個別許可を求められている台湾の半導体産業に何ら支障は生じていない。

 ただし、サムスン電子は中国にある自社工場に日本から輸入したフッ化水素を横流ししていたのではないかとの情報もあり、ずさんな管理がないか厳正にチェックする必要はあるだろう。

 個別許可については、前述の審査期間だけでなくさまざまな誤解もあるようだ。個別許可も船積みごとではなく、契約ごとで、有効期間も6カ月あるのだ。

 審査に要する書類が材質・性能を示す資料や納入先企業の調達実績や生産状況を示す資料、誓約書など9種類もあって大変だとの指摘もある。しかし個別許可への過渡期は多少戸惑いがあっても次第に慣れてくるものだ。現に他のアジア向けの個別許可では問題なく対応している。

 こう見てくると、「韓国の半導体産業に大打撃」「世界の供給網に影響を与える」というのは不安をあおり過ぎだと言わざるを得ない。

 またこれを受けて、文政権が反日をあおり、対抗策を講じようとしている。しかしそれが“空騒ぎ”だとわかるのは時間の問題だろう。そのとき、文大統領は振り上げた拳をどう下ろすのだろうか。

日韓の政治的思惑とメディアの理解不足が招く誤解

 こうした誤解が日韓双方に広まっているのは、政治とメディアの責任が大きい。

 あえて今回の措置の影響が大きいと「見せたい」政治的な思惑が日韓双方の政権にあるようだ。またメディアも輸出管理制度への理解不足もあって、そうした政治的思惑をそのまま報道してきた。その結果、日韓の両国民は誤解を持ったまま過剰反応をする状況を招いている。

 誤解を放置して、こじれた日韓関係をさらにこじれさせることはもはや許されない。


■追記 12日、韓国が日本を輸出管理の優遇対象国から除外を決定した。

 日本にとってその実態上の影響はほとんどないだろう。むしろ韓国の輸出業者の手間がかかるだけだ。政治的に日本に対抗しているのを見せたいだけだろう。
 韓国の措置には輸出管理上の「理由」がないのが問題。形だけ日本を真似た表現にしているだけだ。

 日本は輸出管理上の「理由」として

① 韓国は輸出管理において3年間意見交換を拒否してきた
② 韓国向け輸出で不適切な事案が発生していた

ことを明示している。

 これに対して韓国はこうした輸出管理上の理由を挙げず、単に「報復」としか言っていない。報復は輸出管理の世界では理由に当らず、国際的な輸出管理の論理ではあり得ない。韓国は国際レジームの新参者なので、こうしたことを理解できないのだろう。