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“オール・ワシントン”の動きは収束しない

 こうして本来、地合いが悪いにも関わらず、巧みな駆け引きで中国ペースで終始した今回の米中首脳会談であった。

 しかし貿易交渉を再開するといっても、それぞれ国内政治を考えれば、双方ともに譲歩の余地はまるでない。中国も補助金問題や国有企業問題などを中国にとって原理原則の問題と位置付けたからには、国内的に譲歩の余地はない。米国も大統領選では対中強硬がもてはやされる。あとは国内経済次第だ。急激に悪化して軌道修正せざるを得ない状況になるかどうかだ。

 いずれにしても、関税合戦が収束しようがしまいが、米中関係の本質ではない。

 根深い“オール・ワシントン”による中国に対する警戒感は、中国自身が国家資本主義の経済体制を軌道修正しない限り、延々続くと見てよい。中国がかつて、鄧小平時代の「韜光養晦」に表面的には戻ろうとしても、一旦衣の下の鎧(よろい)が見えたからには、手綱を緩めることはまずない。

 例えば、中国に対して量子コンピューターなどの新興技術(エマージング・テクノロジー)の流出を規制するための“新型の対中ココム(かつての対共産圏輸出統制委員会)”の導入の準備も着々と進められている。米国の大学も中国企業との共同研究は受け入れないなど、サプライチェーンだけでなく研究開発分野の分断も進んでいくだろう。

 こうした中で、今後、日本政府、日本企業は、安全保障の視点でどう動くべきかという問題を米国側から突き付けられる場面も想定しておくべきだろう。

 大統領選にしか関心のないトランプ大統領にばかり目を奪われず、“オール・ワシントン”の動きも見逃してはならない。