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ファーウェイ問題、第2ペンス演説、そして香港問題

  “オール・ワシントン”にとって、ファーウェイは本丸のターゲットだ。前述のZTEはいわばその前哨戦であった。今回も習主席は昨年のZTE同様、ファーウェイへの制裁解除を首脳会談直前の電話会談で申し入れていた。

 トランプ大統領がこの本丸まで取引材料にすることを警戒して、“オール・ワシントン”もそれをさせないように、水面下でさまざまな手を打ってトランプ大統領をけん制していたようだ。

 ペンス副大統領による中国批判の演説を巡る綱引きもそうだ。

 中国との新冷戦を宣言した、有名な昨年10月のペンス演説に続いて、天安門30年の6月4日、中国の人権問題を強烈に批判する「第2ペンス演説」が予定されていた。トランプ大統領はこれに介入して、一旦6月24日に延期され、更に無期限延期となっている。米中首脳会談をしたくてしようがないトランプ大統領が、その妨げになることを恐れ介入したのだ。

 これに対し、 “オール・ワシントン”もさらなる対中強硬策を繰り出す。本来、予定されていた第2ペンス演説には、中国の大手監視カメラメーカー・ハイクビジョンなど数社に対する制裁の発動も盛り込まれていた。これが当面、表に出なくなったことから、次に用意していた中国のスーパーコンピューター企業への制裁を急きょ発動したのである。

 香港問題についてもポンペオ国務長官は「首脳会談で取り上げる」と香港カードを振りかざしていたが、中国は「内政問題」として首脳会談で取り上げることに強く反発していた。人権問題に全く無関心なトランプ大統領本人は、「中国自身の問題」と至って淡泊で、首脳会談で取り上げられることもなかった。

 中国は「敵を分断する」のが常とう手段だ。トランプ大統領と対中強硬派の“オール・ワシントン”を分断して、組み易いトランプ大統領とだけ取引をする。そんな大統領の危なっかしさは今後、大統領選で増幅しかねない。“オール・ワシントン”が警戒する日々が続く。

前回の首脳会談より後退した貿易交渉の再開

 貿易交渉そのものについては、第4弾の追加関税は発動せず、貿易交渉を再開することで合意した。これはまるで昨年12月のブエノスアイレスでの米中首脳会談の光景を繰り返しているようだ。トランプ大統領の本音が経済状況からさらなる関税引き上げをしたくない時のパターンなのだ。この時、NYダウは乱高下して先行き懸念が持たれていた頃だ。

 その際、私はこう指摘した。

 「トランプ大統領は習近平主席との取引をしたがったようだ。米国の対中強硬路線の根っこにある本質的な問題は手付かずで、90日の協議で中国側が対応することなど期待できない。制度改正など政策変更を必要とするもので、中国国内の統治、威信にも関わる」

 「今回の“小休止”はクリスマス商戦を控えて、さらなる関税引き上げを避けたぐらいのものだ。これらは何ら本質的な問題ではない。」(関連記事:G20に見る、米中の駆け引きの真相とは

 今回はこの90日という交渉期限さえ設けられていない。いつまでもズルズルといきかねない。