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サプライチェーンの次は「研究開発ネットワークの分断」

 こうした米国の動きに対して、部材を供給する日本企業も、米国の規制に違反しない範囲で、どうファーウェイとの関係維持を図れるかを模索している。もちろん今後の成長を考えて、ファーウェイとの取引は大事なビジネスチャンスだ。しかし同時に、米国企業が手を引いた穴を埋めるような“漁夫の利”ビジネスには要注意である。仮に米国から見て、「利敵行為」「背信行為」と映れば、制裁対象にもなり得ることを経営者は現場にも徹底すべきだろう。

 企業として注意すべきことをいくつか指摘したい。

 米国の規制で「再輸出規制」がある結果、日本企業が供給する製品に米国製の技術、製品が25%以上含まれる場合は、米国の規制がかかることは、ようやく知られるようになってきた。

 問題はそれにとどまらず、研究開発にも及ぶことだ。その際の落とし穴は「みなし再輸出」である。

 ファーウェイとの関係強化のためにファーウェイとの共同研究をしている日本企業も多い。その際、米国由来の技術が含まれていれば、ファーウェイへの技術移転として「みなし再輸出」の規制対象になることはあまり知られていない。

 さらに、米国の2019年度国防権限法により、米国の大学が懸念ある中国企業からの資金提供を受けたり、共同研究したりすれば国防総省の予算を受けられなくなる。この結果、米国の大学はファーウェイとの共同研究も打ち切っている。これが日本の企業・大学にも影響するのだ。

 ファーウェイなど米国から見て懸念のある中国企業との共同研究を行っている日本の企業、大学は、米国の大学からみると、問題視される可能性がある。その結果、米国との共同研究に支障が生じる可能性が否定できない。経営者は輸出には注意を払っていても、研究開発部門のことは技術者任せになっているケースも少なくないだろう。

 こうした米国の動きは「サプライチェーンの分断」だけではなく、「研究開発ネットワークの分断」にもつながりかねないインパクトがあるのだ。

 中国が「軍民融合」をうたっていることから、民生技術の軍事転用には厳しく目を光らせることになることも指摘しておきたい。日本企業も輸出に際し、軍事用途に使われないよう用途確認を行うことに一応なっているが、企業の現場では形式チェックだけで形骸化している面も否めない。しかし、少なくともファーウェイ向けに対しては形骸化が許されない。日本企業も社内の輸出管理のあり方を再チェックすべきだろう。我々は80年代の東芝機械ココム事件の怖さを忘れてはならない。

 また共同研究も成果が軍事転用されることのないよう歯止めが必要だ。