「ファーウェイ問題」はこの先どう展開するのか(写真:ユニフォトプレス)
「ファーウェイ問題」はこの先どう展開するのか(写真:ユニフォトプレス)

 中国の華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸という米国が出した切り札によって、世界で激震が続いている。ファーウェイの任正非CEO(最高経営責任者)は強気の姿勢を崩さないが、背景にはファーウェイが既にこの米国の動きを早々に察知して早くから手を打ってきたこともある。

 2月5日の本稿でもこの事態を予想していたが、ファーウェイもこの頃既に米国の動きをつかんで動いていた。購買の責任者が日本企業などに“サプライヤー詣で”を熱心に繰り返し、供給確保に奔走していたのである。

■参考記事:米国は中国ファーウェイのサプライチェーン途絶に動く

 ただ、ファーウェイは平静を装っているものの、半導体設計大手の英アームとの取引停止のインパクトは大きい。ファーウェイが強気でいられるのは同社子会社ハイシリコンからの半導体供給があるからだが、米国由来の技術を含むアームの技術がこの半導体設計に使われており、半導体生産に打撃を受けるのは明らかだ。

 またハイシリコンが半導体生産を委託している主たる委託先は台湾積体電路製造(TSMC)である。今のところ、これまでどおり供給を続けることを表明している。しかし実態はファーウェイからの要求と米国の圧力の間の板挟みで、双方から“踏み絵”を迫られる悩ましい状況に置かれているようだ。仮に米国から「利敵行為」と見なされれば、自らが米国の制裁対象にもなりかねないリスクを負っている。

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