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日本企業も他人事ではない

 ファーウェイ問題の日本企業との関わりは極めて重要なので、ここで再度警鐘を鳴らしたい。

 現状でも日本の部材メーカーのファーウェイへの売り上げは年間7000億円程度にも上る。さらに、今後成長すると見込んでファーウェイへの売り込みを強化しようとしている日本企業も多い。

 米国にとって意味ある規制にするためには、部材の供給能力のある日本による対中国の輸出管理の運用に関心が向いて当然だ。米国が「懸念顧客リスト」に載せて原則輸出不許可の運用をすると、日本政府による輸出管理の運用は独自の判断ではあるが、それを“参考にする”のが通例である。

 しかしどのように“参考にする”のかは明確ではない。あくまで“機微度”に応じたケース・バイ・ケースの判断だが、日本企業も白黒がはっきりしない難しい判断を迫られることになる。要するに日本企業の経営者にとって、不慣れな「リスク・マネジメント」が重要になるのだ。

 他方、ファーウェイも早くから米国政府の動きを察知して、危機感を持って米国以外からの部材の調達先の確保に奔走していた。日本の部材メーカーにとっても重要顧客であるだけに難しい対応を迫られることになる。少なくとも「『漁夫の利』を得ようとした」と米国から見られることのないよう、慎重さが必要になっている。

 また日本で生産された製品の中に、米国から調達した部品が25%以上含まれていると、米国の規制対象になる(再輸出規制)ことも日本企業にとっては要注意だ。不注意で米国の規制違反になることがあってはならない。

米中ともに「合意はしたいが、妥協はできない」関税合戦

 次に“主旋律”である米中の関税合戦を見てみよう。

 トランプ大統領も中国の習近平主席も「合意はしたいが、妥協はできない」のだ。その背景については、既にさまざま論じられているが、米中の駆け引きを見る上での基本的視点は、大きく2点ある。

 米中双方における国内の「政治力学」と「経済状況」だ。

 まず、米国の政治力学と経済状況はどうか。

 トランプ大統領の頭の中は2020年の大統領再選が支配しており、判断のモノサシは分かりやすい。米国における通商問題のカギを握るのは米国議会だ。その議会は今や共和党、民主党問わず、対中強硬一色である(例外は、民主党の大統領候補の有力な一人であるバイデン元副大統領で、対中融和で知られ、対中強硬論に与しない姿勢を示している)。ここで安易に妥協すれば、批判の的になり、大統領選挙キャンペーンに大きなマイナスだ。

 それをうまく活用しているのが、対中交渉の責任者であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表だ。一時2月ごろは、中国の知的財産権など構造問題にこだわる交渉姿勢を、早く合意したいトランプ大統領から批判されて、不仲説までささやかれた。しかし米国議会での公聴会などであえて議会の強硬圧力を受けることで、トランプ大統領の風圧をしのいできた。まさに長年ワシントンで生き延びてきた「ワシントン・サバイバー」の真骨頂だ。

 これはかつて米朝協議において、ポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官が諜報機関の情報を駆使して、安易な妥協は国内で批判を受けることをトランプ大統領に悟らせ、踏みとどまらせたことと軌を一にする。

 トランプ大統領の前では無力な政権幹部は、米国議会や諜報機関といったワシントンの政策コミュニティーと連携することによって、何とかトランプ大統領の暴走を最小限にしているのだ。

 米国政権内のパワーバランスも大きく変化した。中国が一旦合意したことを撤回して、約束を反故(ほご)にしたことが今回、トランプ大統領が強硬姿勢に転じたきっかけである。だが、このことが「中国は信頼できない」と主張してきた対中強硬派の論客、ナバロ大統領補佐官の信任を高めることになった。今や、穏健派のムニューシン財務長官の影は薄く、ナバロ補佐官、ライトハイザーUSTR代表といった対中強硬派が政権内を支配している。