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(写真:ユニフォトプレス)

 ヤマ場の米中貿易協議は閣僚会議も終え、追加関税の引き上げの期限を延長して、首脳会談での決着を目指すことになった。ただ、これも2020年の大統領再選まで続くドラマ仕立ての展開の中での“小休止”だろう。

 「大きな進展があった」との発言を繰り返すことによって、米中協議の妥結を期待して安心感が広がり、株式市場も既にそれを織り込んでいる。来年の大統領再選を目指すトランプ大統領が重視する株価を見ると、一応、目的を達成している。関税引き上げの経済へのマイナス影響が顕在化しつつある中で、株価急落を恐れるトランプ大統領にとって米中協議が妥結しないという選択肢はない。

 あとは成果を誇示するための“見栄え”だ。そこで習近平主席とフロリダの別荘での首脳会談で決着する、という見栄えのするイベント・ショーを設定しようとしている。だが、タイミングとして、今週予定の米朝首脳会談と重なるとかすんでしまうことから先に延ばしただけだ。

 何とも分かりやすい大統領で、当然中国もそれを見透かしている。

“見せかけの構造改革”でしのぐ中国

 まず大豆の大量買い付けなど、米国中西部の農家にアピールできる成果を用意する。国家が貿易を管理できる中国にとって、輸入数量の数値目標をコミットすることは容易なことだ。市場経済で管理貿易に踏み込めない日本とは根本的違う。そういう意味で、皮肉なことに管理貿易志向のトランプ政権と中国は相性が合う。

 知的財産権や国有企業への補助金など、共産党政権の根幹にかかわる「構造問題」では“見せかけの構造改革”でしのぐ。強制的な技術移転の要求の禁止の法律制定を3月の全人代(全国人民代表大会)で用意しているといっても実効性は疑問視されている。知的財産権の強化といっても、3倍賠償制度の導入など罰則の強化は、本来の要求からはズレた回答だ。むしろその矢は外国企業に向けられる恐れさえある。

 構造問題に拘るライトハイザー米通商代表が強硬に是正要求しても、見栄え重視のトランプ大統領の関心事項ではなく、どこまで理解しているかも定かでない。むしろ米国議会がそれを懸念してくぎを刺している有様だ。

 中国もそれを見透かして、トランプ大統領との直接取引を持ち込んで、議会対策になるよう“見せかけの構造改革”でお茶を濁して継続協議にし、制裁関税を免れようとしている。

 この構図は「トランプ大統領との直接取引」と「見せかけの非核化」でしのいで継続協議にし、「経済制裁の解除」を得ようとしている北朝鮮と二重写しになる。基本的にトランプ政権対策では、中国と北朝鮮は軌を一にしている。