債券への投資チャンス到来
居林:「投資家は自分の個性に合わせたポートフォリオを組むべきだ」と思っているので、債券投資も視野に入れるべきだなと前から考えていたことが一つ。もう一つは、何度も申し上げてしまいますが、22年が株も債券も沈んだ年だからです。
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居林:どちらも沈んだというのは、来年、23年は、投資を始めるのであれば、債券に行ってもいいし、株に行ってもたぶん大丈夫な、いい年なんですね。
ああ、どちらも大きく下げているからスタート時点と考えると楽ですよということですか。
居林:簡単に言うとそうです。特に債券は利回りの高い銘柄が買えますから、キャピタルゲイン(債券自体の値上がり益)は取れるわ、利払いは取れるわ。もちろん、債券発行企業がつぶれなければですよ。でも、債券投資には絶好の時期が来ていると思います。
おまけに、インフレが終わるなら金利も下がる、金利が下がるということは債券価格は上がる。債券にとってはいい環境が来ます。たぶんその後、株なんですね。
株式市場の底打ちは期待できるけれど、先に債券が動きそうだと。
居林:はい。来年のどこかのタイミングで株は反転すると思いますけれども、直近で米国株が上昇しても、ついていくかと言われたら、うーん、です。経験で考えてもしばらく時間がかかるから、そんなに焦らなくても大丈夫、その期間、まったく稼げないよりは債券投資で、ということですね。
ではそろそろ恒例で、23年の上値の予想をお願いします。
居林:ハイテク株壊滅の米国株に比べて、日本株は堅調で推移しました。企業業績も円安による外需拡大で安定しています。米国株が上がれば日本株も日経平均3万円トライがあり得ると思います。ポジティブシナリオが3万1000円、ニュートラルシナリオは2万9000円で考えています。24年が視野に入ってくる来年後半にはさらに上値が見えてくるかもしれません。
このインタビューの〆切直前に、日銀の金融政策変更(イールドカーブコントロールの修正)というニュースも飛び込んできましたが。
はい、「これが日銀のマイナス金利の撤廃につながるのか」が来年のテーマとして急浮上しましたね。マイナス金利政策を導入した時には株価が下落したので、撤廃した時にはプラスにならないとおかしいところです。しかし、短期的には「日本もついにインフレ対策に乗り出さないといけなくなったのか」という海外投資家の受け止め方の影響が出てくることになりそうですね。私としては前半でお話ししたように、米国株の切り返しのほうが日本株全体を占ううえで重要だと考えていますので、米国、中国、欧州と海外情勢のほうに注目しています。
なるほど。ありがとうございました。
繰り返しになりますが、22年は自分も含めて大変な年でした。やられたら巻き返すしかないのですけれども、心機一転やり直すんだ、と考えるならば、今年はその土台としては決して悪くない状況になっています。日本企業の新規巻き返しがそこに重なってくれば、23年はきっといい年になりますね。
それでは皆様、どうぞよいお年を。
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