さっきの答えは、半導体の市況ですね。

居林:ご名答です。少なくとも今回はそうだと思います。 ハイテクの市況は半導体統計を見ていればよろしい、というのが私の考えです。

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居林:私はこのWSTS(世界半導体市場統計)という指標を見ています。有料会員でないとこうした図は見られないのですけれど、月々のYoY(前年同月比)は出ているので、それだけ見てもいいと思います。22年に入ってしばらくして下落し、年末はマイナス3~4%のところでうろちょろしています。

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居林:これは金額ですが、需給を見るには数量のほうがいいと思います。ご覧の通り、数量ベースで見るとピークはかなり前に過ぎています。22年末でどうかというと、前年同月比でマイナス10%なんですね。ここまで下がることは、実は東日本大震災以来です。

へええ。

居林:なので、この先リーマン・ショック級のことが起きなければ、ハイテク業界の景況感は実は底に近いと言ってもいいと思っています。ということは、その株価もかなり底にいるのではないかと考えています。

十分調整が行われたと。

居林:はい、この先、23年は、ハイテクに関しては「下があまりなくて上があり得る」といういい年になるんじゃないでしょうか。私はハイテクに関してはここ1年以上弱気論者でしたけれども、転換してもいいかなと思い始めています。

まとめますと、株価はインフレの影響は織り込み、次は業績の悪化、景気後退の山を越える。経験則的には前回のピークを越えるには大底から2年はかかる(24年秋くらい)、反転の兆しはGAFAMを代表とするハイテク株の復調で、株価は業績に先行して動く。現状でハイテク企業の株価、業績はほぼ底と見ることができる。ということは、景気後退の影響に目を奪われすぎると、チャンスを逃がすかもしれません。と、こんな感じですか?

居林:その理解でOKです。

 もう一つ。2022年を振り返ると、別の視点からの投資チャンスが見えてくるように思えます。今年は株も債券もやられた年、と最初に申し上げましたよね。

はい、どちらも下がるのは珍しいんですよね?

居林:そうなんです。だいたい補完し合う市場なんです。今回はどちらもやられて、しかもその下げっぷりがすさまじかった(株式マイナス15.4%、社債マイナス14.0%)。

しかし、債券の話ってこのコラムも含めて、あまり世間に出ませんよね。

債券市場と株式市場との違いを理解しよう

居林:債券市場は一般投資家の方にはあまりなじみがないかもしれません。日本はゼロ金利でしたし。だけど、米国は金利が上がったんですよね。22年は10年債で4%を超える利回りがあったわけです。ドル建てで見れば十分、投資する意味がある。

 ところでYさんは債券投資について、どういうイメージがありますか?

買うタイミングにもよりますが、「定期的に利払いがあるし、ずっと持っていれば償還されるから安心。だけど、そんなに大きくはもうからない」みたいな?

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